2009年06月01日

この記事をクリップ! Yahoo!ブックマークに登録 このエントリーを含むはてなブックマーク

『レアメタル超入門』4

中村 繁夫著  2009年5月30日発行  777円(税込)

レアメタル超入門 (幻冬舎新書)レアメタル超入門 (幻冬舎新書)
著者:中村 繁夫
販売元:幻冬舎
発売日:2009-05-27
クチコミを見る

著者はレアメタル一筋数十年の方で、レアメタル専門の商社を設立し、現在もその会社の経営をされています。このブログでも、過去に何冊か著者の本を紹介したことがあります。

本書は「超入門」とあり、タイトルからは過去の著作と比べて入門的な内容である印象を受けますが、実際は今回の金融危機後の業界の状況についても解説されており、前作の続きとして読むとができます。



著者が世界中のレアメタルの現場でのご経験が長いだけに、著者の本はエピソードが豊富で興味深く読めます。本書では、世界各国の現場での体験やレアメタルの世界的トレーダーの話に加え、わが国でのレアメタルにまつわる動きについても書かれています。

金融危機の影響により、現在はレアメタル市場も調整期間中のようですが、今後は中国やインドなどの新興国の長期的な持続的成長の予測により、レアメタルは再び不足する可能性が強いことが指摘されています。

日本はレアメタルに関しても資源貧国なので、国家的な戦略が必要であるということを強調されています。レアメタルの重要性について国が認識するためには、まずは国民が認識する必要があるようであり、著者が精力的に本を書かれているのも啓蒙的な意味合いが強いようです。

本書によると、レアメタルはハイテク機器に欠かせないもののようであり、ハイテク技術が売り物の日本にとってはとくに重要なようです。しかしながら、その重要性は一般には十分に浸透していませんし、今までは国も戦略的に考えていませんでした。本書を参考にすると、その理由については以下のように考えられます。

  • レアメタルに馴染みがないこと

高校の化学を学習された方は、名前だけは聞いたことがあるものが多いのですが、その具体的な性質については習いません。モリブデンとかインジウムとか聞いても、それらの性質は思い浮かぶかたは少ないと思います。

  • 業界に山っ気があること

本書のサブタイトルは、「現代の山師が挑む魑魅魍魎の世界」とありますが、レアメタル業界はどこか投機的でハイリスクな香りが漂います。基本的に国はこのような性質のものには自分からは手を出したがりません。

  • 多面的な外交戦略が必要とされること

レアメタルの産地は世界中に散らばっており、国の情勢が必ずしも安定していなかったり、日本との交流があまり深い国でなかったりします。戦略的・主体的な外交が必要とされますが、このような外交は日本はあまり得意でないかもしれません。

今までは日本の商社がリスクを取ってきたようですが、世界的な競争となると国のバックアップも必要なようです。現在は金融危機でレアメタル市場も調整しているので、著者によると、現在はチャンスの時期であるようです。

本書は、レアメタルについて啓蒙的な内容の本ですが、エピソードが豊富で読み物としても面白い本です。今後の世界経済に関心のある方であれば、参考になる部分があると思います。



investmentbooks at 22:05│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--日本経済 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
プロフィール
bestbook
家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
このブログについて
2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
ブックマークに登録
このブログをソーシャルブックマークに登録
このブログのはてなブックマーク数
アマゾン検索
月別アーカイブ
QRコード
QRコード
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ