2009年07月15日
『ダンドー 〜低リスク・高リターンのインド式テクニック』
モニッシュ・パブライ著 舟木 麻里訳
2009年8月3日発行 1890円(税込)
ダンドー
著者:モニッシュ・パブライ
販売元:パンローリング
発売日:2009-07-10
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タイトルだけでは何についての本か見当がつきませんが、株式投資の本です。著者はインド系の方で、自分で起業したビジネスで成功し、現在はバフェットの投資哲学を模したファンドの運営をされています。
「ダンドー」という言葉はグジャラート語で「富を創造する努力と挑戦」という意味で、サンスクリット語の「Dhana」(富)に由来するようです。ちなみに、サンスクリット語の「Dhana」は日本でも「旦那さん」の語源になっています。やはり夫はお金を与えることに存在意義があったのでしょうか。
著者はバフェットやバフェットのパートナーであるチャーリー・マンガーを師と仰いでいるようです。数年前に、日本円で数千万円かかるバフェットとの昼食権を落札されています。そのことからも、著者がお金持ちであることがわかります。
本書で語られている投資哲学は、著者がビジネスで成功されたということもあり、株式投資はビジネスを所有することであると捉えられています。これはバフェット流ですね。
まず最初に、実際に成功した著名な人々のビジネスについての簡単な解説があります。著者のビジネスについても、少しだけ解説されています。
その後に、その考え方を発展させて株式投資に対する哲学や考え方が述べられています。バフェットの考え方を著者流に少しアレンジしているというと分かりやすいかもしれません。
要点としては、割のいい賭けをするということです。失敗してもほとんど損失がなく、成功すると大きなリターンが望めるような勝負にのみ大きく賭けるのがよいようです。
「ダンドーフレームワーク」としてまとめられているものを、以下にいくつか書きます。
- 新規ではなく、既存のビジネスに投資する
- 厳選した少数に賭ける、大きく賭ける、たまに賭ける
- 常に安全域を確保する
- 低リスクで不確実性の高いビジネスに投資する
本書では「ダンドーフレームワーク」の一つ一つについて、より詳しく解説されている部分が中心になっています。
「不確実性の高いビジネスに投資する」というのが、とくに注目すべき点かもしれません。不確実性が高いと、リターンが大きくなるからです。DCF法で考えると、割引率が大きく想定されている状態です。
不確実性が高くても、期待リターンが大きく、損失の可能性が低く、損失の期待値が小さければ、十分に割がよい投資になるという考え方です。
本書は株式投資の本として良書だと思うのですが、タイトルで少し損をしているかもしれません。タイトルから本の内容がわかりにくいので、逆に記事にしたくなる本です。