2009年07月24日

この記事をクリップ! Yahoo!ブックマークに登録 このエントリーを含むはてなブックマーク

風邪の処方の難しさ

医者の仕事の一つに「処方する」という行為があります。処方というと一般的には飲み薬のイメージがあると思いますので、ここでは飲み薬について考えてみます。

たとえば風邪を引いてクリニックに行ったとします。インフルエンザではなく風邪です。さて、どのような薬が処方されるのを期待されるでしょうか?



風邪の処方については、医者によってさまざまな考え方があると思いますし、実際にさまざまな考え方に応じてバラエティに富んだ処方があることでしょう。

症状にもよると思いますが、最も数多くの種類を出す医者であれば、消炎鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、咳止め、消炎酵素剤、消炎鎮痛剤の副作用防止の胃薬、抗生物質、ビタミン剤など、実際に必要かどうかはともかく、フルスペックで処方するかもしれません。

場合によっては、さらにブドウ糖やビタミン剤の入った点滴などをする場合もあることでしょう。

その一方、風邪は安静に暖かくして胃腸に負担をかけなければ自然に治癒すると考えて、診断だけして何も処方しないという方針もあるかもしれません。

どのような処方をしたらよいかということは、医者の考え方の多様性がありますが、受診サイドでもさまざまな思いがあります。

薬をたくさん出すと「あの医者はとにかく薬を多く出す」と不信感を抱く患者さんがいる一方、薬を少ししか出さないと「あの医者は薬を全然くれない」と不満を抱く患者さんもいます。

難しいのは、遠慮や何を自分で期待しているのかについて意識できないという場合もあり、本当の思いがなかなか表面に出てこないことです。また、その場では納得していても、他者の意見により後で考えが変化することもあります。

風邪はよくある症候群ですが、本当の意味において正しい治療方針と処方を決めるという意味においては、それほどやさしい対象ではありません。

ほとんどの人は自然に治癒する一方、老人などは風邪をきっかけ肺炎などを発症し亡くなってしまう場合もあります。風邪は万病のもとともいわれていますね。うつ病なども、風邪の後に発症したという病歴もたまに聞きます。

抗生物質の使用についても、風邪自体には効果がないので意味がないという考えもありますし、二次感染を予防するために処方しておいた方が安心という意見もあります。

発熱についても、一般的にはとりあえず解熱剤などで下げたくなりますが、ある種の代替医療では逆に発熱により発汗させて「風邪(ふうじゃ)」を排出した方がよいという考え方もあります。

風邪に対する治療は一定しておらず多様性があるため、その医者の処方から、その医者がどのような疾病観や治療観を持っているかをうかがい知ることができます。

医者の処方の多様性と治療についての患者サイドの思いの多様性を考えると、風邪薬の処方は興味深いテーマです。

客観的な風邪という症候群が存在してその治療薬があるというよりも、医者の治療観と患者の医療に対する思い双方によって形成されるものが処方薬を通じて表現されていると考える方がよさそうです。



investmentbooks at 23:44│Comments(0)TrackBack(0)clip!つぶやき--その他 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
プロフィール
bestbook
家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
このブログについて
2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
ブックマークに登録
このブログをソーシャルブックマークに登録
このブログのはてなブックマーク数
アマゾン検索
月別アーカイブ
QRコード
QRコード
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ