2009年07月29日

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「先生」という呼称

約1ヶ月前に「「患者様」という言葉の違和感」というエントリーを書きました。今日は医療現場において医者を呼ぶときによく用いられる、「先生」という呼称について考えてみたいと思います。

「先生」という呼称は、医者のみならず、学校の先生、政治家の先生、弁護士の先生などさまざまな職業において使われていますが、これらの人々はなぜ「先生」と呼ばれるのでしょうか?



先生という存在は、主として自分が持っている専門的知識を「売る」ことによって生計を立てています。政治家の先生はちょっと違いますが、のちに政治家が先生と呼ばれる理由についても考えます。

医者は医療の専門知識、学校の先生は自分の専門分野の知識、弁護士の先生は法律の専門知識などがあります。

では、専門知識があれば「先生」でしょうか?

専門知識なら多くの仕事に存在します。むしろ専門知識を有しない職業はほとんどないかもしれません。しかしながら、すべての職業の専門家が「先生」と呼ばれるわけではありませんし、政治家の「先生」は他の「先生」と比べるとそれほど専門的ではないかもしれませんが、「先生」と呼ばれます。

おそらく、「先生」と呼ばれる存在は、自分が与えているものの価値が自分が受け取る価値よりかなり低い存在のことであると思われます。

たとえば、経営コンサルトの先生に10万円のコンサルティング料を払って経営が改善されると、年間の売り上げが1000万円アップして、純利益が50万程度増えるのかもしれません。税理士の先生に節税の相談をすると、100万単位で違ってくることもあるでしょう。

そして、この部分は「先生」の裁量によって微妙に異なると思いますが、その違いは小さくないこともあるでしょう。

よって先生という存在の特徴は以下のようにまとめられます。

  • クライエントが払う対価以上の価値を与えてくれる(ことが期待される)
  • 与えてくれるものはその人の裁量によって大きく変動する(ことがある)

このことから、政治家が「先生」と呼ばれる理由もわかります。政治家の先生は、国から地元に予算を引っぱってきてくれたり、なにかと便宜を図ってくれたりします。

医者が常に医療費以上の価値を与えているかどうかは疑問もありますが、生死に関わる状況においても、比較的安価な保険診療の医療費のみで治療が行われることがほとんどです。

「先生」という呼称は、おそらく支払っている価値と与えている報酬の差の部分が関係しているはずです。クライエントが与えている以上に受け取っていることが、「先生」という呼称を生み出している部分があります。

逆に考えると、「先生」という呼称は、「先生」を安価に用いるために存在しているとも考えられるかもしれません。「先生」と呼ばれると、要求する報酬はあまり多くできなくなるかもしれません。

「先生」という呼称は、専門家を利用するコストを下げるための知恵と考えられます。「先生」も少々報酬を高くもらうよりも、「先生」といわれる方を好むかもしれません。

「先生と呼ばれるほどのバカでなし」という言葉がありますが、「先生」が自分の報酬を最大限に要求しない、つまり自分の価値から受け取る報酬を効率化していないということもあるのでしょう。

医者は「先生」にしておいた方が、医療費のコストは安くなると思います。「先生」という言葉に含まれる微妙なニュアンスには、社会の知恵が反映されていると思います。



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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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