2009年08月06日

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『資本主義のコスト』4

ロバート・J・バーバラ著  菊池 正俊訳

2009年8月7日発行  1995円(税込)

資本主義のコスト資本主義のコスト
著者:ロバート・J・バーバラ
販売元:洋泉社
発売日:2009-07-23
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原著者は25年以上にわたりエコノミストをされていた方です。訳者は外国人投資家についての良書を一般向けに何冊か書かれており、本ブログでも過去に何冊か紹介しています。本書は翻訳者の名前で購入した面もあります。

本書のテーマは最近の金融危機を中心に、今までの金融危機について、ハイマン・ミンスキーの資本主義金融の理論について解説されている本です。と書くと難しそうに感じますが、バブルの過程を説明してると考えると興味が湧きやすいと思います。



本書で表にまとめられていますが、ミンスキーの資本主義金融の3段階は以下の通りです。

1.ヘッジ金融---景気後退に対する明確な記憶が残る景気回復の初期

2.投機的金融---「ゴルディロックス」の成長が数年続いた後の景気拡大の中期

3.ねずみ講金融---景気後退が迫っている景気拡大の後期

「ゴルディロックス」とは、熱すぎず冷たすぎない「適温」の状態のことを経済成長に当てはめた言葉です。

金融においてはこのサイクルが繰り返され、今回の「100年に一度」の金融危機も本質的にはこのサイクルを逸脱するものではないようです。

最終的にはバブルは崩壊してダメージが生じるのですが、このダメージが「資本主義のコスト」です。バブルを無くそうとして管理的になりすぎると、資本主義のダイナミズムが失われてしまいます。

本書は、日本のバブルとその後のことについても比較的よく説明されており、そのような点においても興味が持てる本です。

ミンスキーの理論が正しいかどうかはまだわかりませんが、これからも上記のサイクルが繰り返されることは非常に可能性が高いと思います。

これは、人間が恋をしてその恋が冷めても、また懲りることなく恋をすることに似ています。新たな恋愛が始まるときは、「今回だけは違う」と思うものです。経験を重ねるごとにより大人の判断にはなりますが、基本的な心性は変わりません。

今回の金融危機の教訓を生かすのであれば、経験を踏まえて「大人」になるのはよいと思いますが、「恋する心」に相当するダイナミズムを無くそうとすると、資本主義の長所が失われてしまうと思います。

資本主義が成熟することは、大人の恋愛ができるようになることに似ていると思います。



investmentbooks at 23:51│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--経済学 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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