2009年08月08日

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『チャールズ・エリスが選ぶ「投資の名言」』4

チャールズ・エリス著  鹿毛 雄二訳

2009年8月3日発行  800円(税込)

チャールズ・エリスが選ぶ「投資の名言」(日経ビジネス人文庫)チャールズ・エリスが選ぶ「投資の名言」(日経ビジネス人文庫)
著者:チャールズ エリス
販売元:日本経済新聞出版社
発売日:2009-08-04
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原書は1997年、日本語の翻訳単行本は2002年に出版された本です。単行本は以前読んだことがあるのですが、今回文庫化されたので読み直してみました。

著者は株式投資についての歴史的な名著である『敗者のゲーム(新版) なぜ資産運用に勝てないのか』の作者のチャールズ・エリスで、本書では自分も含めて著名な投資家などの投資やビジネスに関係する文章を選んでいます。日本語のタイトルには「名言」とありますが、原題ではアンソロジーとなっており、格言などではなくある程度まとまった長さの文章が載せられています。



本書の目次は以下の通りです。

  1. 投資の原点
  2. どうすれば失敗を避けられるか
  3. 冷静に考えることの大切さ
  4. 投資で成功するために

今から30年くらい前の文章を中心に、数百年前のもにまでさかのぼって集められていますが、すべて業界では著名な人々の文章ばかりです。

株式投資についての文章が中心にはなっていますが、経済やビジネスについて書かれているものも混じっています。

本書にある文章は、インターネットの出現やグローバリゼーション以前に書かれた文章のため、それらについての記述は全くありません。しかしながら本書を読むと、世界的な投資環境が変化しても、投資において重要なエッセンスは全く変わっていないことがわかります。

今回の金融危機も特別なことであるように思われますが、しばらくしてから振り返ると、本書で解説されている内容からはずれるものではなかったと思われるのではないでしょうか。

本書はさまざまな人の考え方が集められているアンソロジーなので、正反対の考え方が出ているようなところもあります。たとえば、投資対象は集中させた方がよいという意見もありますし、それと反対に分散させた方がよいという文章もあります。

おそらく矛盾している部分は個人のスタイルの違いになるかと思います。人によって考え方が異なる点はありますが、共通している部分もあります。その共通している部分はそのまま取り入れる方がよいところかもしれません。

時代が変化しても、投資における人間の性質や考え方の偏りは容易には変化しません。現在行動ファイナンスとして学問的にまとめられつつある事柄も、昔の投資家は経験的に把握していたことが本書からよくわかります。

投資の本は単行本でよく出版されていますが、翻訳ものが多いせいかなかなか文庫化されません。本書のように文庫化されて入手しやすくなると、投資についての良書にアクセスしやすくなると思うので、投資の裾野を広げるためにもなるべく多く文庫化されて欲しいものです。



investmentbooks at 23:37│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--株式投資 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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