2009年08月09日

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『ジパング再来 大恐慌に一人勝ちする日本』4

三橋 貴明著  2009年8月5日発行  1680円(税込)

ジパング再来 大恐慌に一人勝ちする日本ジパング再来 大恐慌に一人勝ちする日本
著者:三橋 貴明
販売元:講談社
発売日:2009-07-30
おすすめ度:5.0
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著者は世界経済における日本経済について強気な見方の本を数多く書かれている方です。また、特定の国の経済における脆弱性についての本も数多く書かれています。

本書においても、日本は一般的に言われているよりははるかに経済面での強さを持っているということを、さまざまな点から述べられています。本書の目次は以下の通りです。



  1. 日本は世界一の大金持ち
  2. 問題も解決策も明確な国
  3. 「純粋なるマネー」の力
  4. 世界を変えるデフレ・ビジネス
  5. 真っ白なバランスシート
  6. 証券化商品を拒否した国
  7. 不良債権と住宅バブルのない国

終章が2015年における日本の一つの可能性についてになっています。

著者の本の特長は、客観的な数字のデータを用いて、一般的に言われていないことがわかりやすく説明されていることです。本書でも「日本国家のバランスシート」がありましたが、これは政府のみではなく、法人や家計なども合算されたものです、

一般的に知られているのは政府のみのバランスシートで、それでは債務超過になっていますが、著者のバランスシートでは、純資産が240兆円強、対外純債権も240兆円強となっています。

日本はキャッシュも潤沢であり、財政的には一般的に言われているほど悪くないという主張ですが、著者のバランスシートでは総資産が5500兆円強、自己資本比率で見ると、4%ちょっと、対外純債権を入れたとしても8%ちょっとであり、帳簿上の資産の実際の価値によっては、著者のバランスシートにおいても債務超過になる可能性があるので、そう楽観的にはなれないかもしれません。

しかしながら、本書を読むと日本はよく言われているほど過度に悲観的になる必要はないのかもしれないとも思います。

著者の分析によると、日本はストックよりもフローに問題があるそうです。経済成長をほとんどせず、GDPが延びないということですが、その解決策として政府が公共投資をすることを提案されています。

お金を貯め込んで使わないよりは、政府が公共投資をした方がよいということですが、問題はいかに有効な、つまり日本の生産性を上げるような公共投資ができるかです。

本書には、さまざまな点から現在の世界における日本の強みが書かれています。将来に希望を持って楽観的になるのは、心理的に経済をよくする働きがあるので、すべてが正しいかどうかはともかく、本書に書かれているようなことはもう少し一般的に話題にされてもよいのではないかと思います。



investmentbooks at 23:58│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--日本経済 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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