2009年08月25日
『2010年世界経済大予言―大恐慌を逆手にとる超投資戦略』
松藤 民輔/増田 悦佐著 2009年9月1日発行 1575円(税込)
2010年世界経済大予言―大恐慌を逆手にとる超投資戦略
著者:松藤 民輔/増田 悦佐
販売元:ビジネス社
発売日:2009-08-25
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金と恐慌の松藤民輔氏と、鉄道と日本文化の増田悦佐氏の対談です。対談によると、お二人は昔からお知り合いのようです。両者の本はこのブログで過去に何冊も紹介しています。
両者の本を読まれた方はご存知と思いますが、増田氏のあとがきによると、両氏ともお二人とも「世界に超弱気、日本に超強気」が共通点です。どれくらい日本に超強気かというと、しばらくすると日本が世界の覇権国になるという発言が出るくらいの強気さです。
松藤氏は、サブプライム問題による株式市場や不動産市場の世界的な暴落を的中させたことですっかり有名になりました。以前から暴落や恐慌を主張されていますが、現在も恐慌にいたる途中過程であると分析されています。
今後しばらくすると、ダウfが4000ドル、日経平均も4000円に向かうとされています。現在の市場の上昇は、下落相場における一時的な戻りに過ぎないようです。ちなみに松藤氏が常に強気な金は3000ドルを目指しているそうです。
数年前に松藤氏の悲観的な予測を読んだときには心からは信じていませんでしたが、結局大体の大きなトレンドは当たっていました。相場の難しいところは、以前に予測が的中したからといって、次回も必ずしも的中するとは限らないところです。
でも、ほんの数ヶ月前までは、日経平均が5000円台になっても全然不思議ではない状況でしたね。現在は妙に上昇していますが、このままずっと上昇トレンドが続くと考えるのはムシがよすぎるかもしれません。上昇はしているものの、ボリュームが伴っておらず、今一つ盛り上がりに欠けるのが気になるところです。
本書を読んだからといって、今すぐに保有銘柄をすべて売ってキャッシュに換えておこうとは思いませんが、再び暴落が起こったときに備えてキャッシュポジションを厚めにしておこうくらいには思います。
日本がアメリカの次の覇権国になるとは、今の段階では到底思えないのですが、もしもそのトレンドが的中するとすると、1980年代の日本のバブルにはそれなりの先見性があったことになります。
もしも日本が覇権国になるようなことがあるとすると、日経平均は5万円を越えて10万円を目指すような展開になるのでしょうが、今のところリアリティが感じられません。ただし、投資においてはあらゆる可能性は除外しない方がよいと思うので、頭の片隅にはとどめておきたいところです。
ちなみに日本に対して「超強気」な理由は、日本が伝統的にもの作りが得意であることや、日本はエリートと民衆が明確に分離している格差社会ではないことなどがあるようです。
本書の予測が当たるかどうかについては何とも言えませんが、お二人とも発想が個性的であり、悲観的になりがちな日本人を勇気づけるような話が多いので、本書のような本はもっと読まれてもよいのかもしれません。
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この記事へのコメント
ミスターポジショントーカーの松藤氏の予言は当たるのか、楽しみです。
上昇するか下落するか、揉み合いか、まあ、3人いれば、誰か一人は当たるんだと思いますが…[笑]。
ただ、基本的に、どこの国も自分の国については悲観的な気がします。そういうバイアスがかかっているような…。
世界中、政治は駄目で、借金は酷くて、格差は広がっていて…。
その点、彼らや三橋氏のような、日本強気勢の意見は心強いです。
対談形式ということもあり、読みやすい本でしたね。
松藤氏の予言は当たってもはずれても面白いですね。予言よりも生き方のスタイルが興味深いです。
たしかにどこの国も自国については悲観的なのですが、とくに日本はその傾向にあると思います。悲観的なのは反省→改善でよい面もあるのですが、過度だと気分的にはよくないですね。
経済は心理的な側面もあるので、楽観的な見方をきっかけにして経済自体が盛り上がるのもありかなと思います。