2009年09月01日

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『しがみつかない生き方―「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール』4

香山 リカ著  2009年7月30日発行  777円(税込)

しがみつかない生き方―「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール (幻冬舎新書)しがみつかない生き方―「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール (幻冬舎新書)
著者:香山 リカ
販売元:幻冬舎
発売日:2009-07
おすすめ度:4.0
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書店の平積みの様子から売れている印象があるので、買って読んでみました。実は著者の本を買って読むのは初めてなのですが、やはり読みやすい文章です。

売れている本は時代の世相を反映していることがありますが、本書についてもそのような感覚を抱きました。本書の目次は以下の通りです。



  1. 恋愛にすべてを捧げない
  2. 自慢・自己PRをしない
  3. すぐに白黒つけない
  4. 生・老・病・死で落ち込まない
  5. すぐに水に流さない
  6. 仕事に夢を求めない
  7. 子どもにしがみつかない
  8. お金にしがみつかない
  9. 生まれた意味を問わない
  10. 〈勝間和代〉を目指さない

本書のテーマは「執着しない」ことであると思います。社会も、そしてその流れを反映した書籍も、ここ数年は目的を決めてそれを達成するということが目立ちました。

最近は自己啓発書などのコーナーに行くと、毎日のように新刊が発売されており、本自体も多く全体を把握しきれないほどで、圧倒されるような感覚に襲われます。

それだけ本が出続けているということは、実際の需要があるのでしょう。読む人が多いので本が出版されるのか、本が出版されるから読む人が増えるのか、おそらく相互作用があると思いますが、いずれにしろ本書でテーマになっているような問題を解決するための本に需要があるのはたしかです。

ただし、それらの本は数多く出版され続けているので、読者の方も少し満腹気味になりはじめているのでしょう。本に限らず、目標を決め、それに執着しながら努力を続けることに人々が疲れはじめているということが、本書が受け入れられている理由であると思います。

何らかの形で目標達成に疲れている方は、本書を読むとホッとした感覚があるはずです。株式市場に上昇期と下降期があるように、目標達成についての集団的な人間心理についてもサイクルがあるのかもしれません。

本書が売れているのは、多くの人の共感が得られているということだと思います。景気があまりよくないこともあり、多くの人にとって今は休みたい時期なのかもしれません。あまり景気がよくないので、起業をする気も起きないはずです。

しかしながら、実はそのような状況ほどチャンスかもしれないのは、株式市場と同じ仕組みになっているかもしれません。

景気が悪いので、さまざまなコストも安くなっていますし、皆が起業に熱心でないので、競争相手が少なく、うまくいった場合には先行者利益も得やすいでしょう。起業を例に挙げましたが、周期的にサイクルがある事柄については、考え方は同じです。

何でもサイクルの谷にあるときは、谷にあるからこそ、そこに参加しにくい状態になっていますし、参加しにくい状態が谷を形成する理由になっています。

今が目標達成における集団の心理状態について、どの段階にあるかははっきりしないのですが、本書のような本が売れるということは、谷のいずれかの過程にあるはずです。

本書を読んで多くの人がホッとするということは、まさにそのような状態の時こそチャンスなのかもしれません。結論的には本書の主旨と逆になってしまいますが、循環的な事柄に対して逆張り的なスタンスを取ると、そのような結論になってしまいます。

休むのは皆が休みたいときではなく、皆が必死に参入してくるときの方がよいと思います。このあたりの構造は株式投資と同じです。本書が売れていることから、現在は皆が休みたい時期であると推測できるかもしれません。



investmentbooks at 23:14│Comments(2)TrackBack(0)clip!本--人生指南 

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この記事へのコメント

1. Posted by りえっち   2009年09月09日 11:41
最近、3人目の子が2歳半になり自分の時間ができ、読書を始めました。
bestbookさんの書評が心にとまり、この本を読みました。
先月、『勝間和代のインディペントな生き方』を読んだばかりだったので、2人の著者の対比が面白かったです。
極端な考え方に偏らず、人生良い時も悪い時もあってそれをうまく受け入れながら生きていければ良いなと思いました。

お気に入りブログに登録させていただきます
いろんな本の紹介・書評を楽しみにしています。
2. Posted by bestbook   2009年09月10日 01:14
りえっちさん、コメントいただきありがとうございます。

子育ては大変でしょうが、読書の時間ができてよかったですね。
本ブログが読書のきっかけなって嬉しく思います。
香山さんと勝間さんの考え方は、本書を読む限りでは対立していますが、対立するということは、お書きのようにどちらも重要ということなので偏らないようにするのがいいですね。

お気に入りに登録していただき、ありがとうございます。励みにしてブログ続けたいと思います。今後ともよろしくお願いします。

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
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