2009年09月02日

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『日本銀行は信用できるか』5

岩田 規久男著  2009年8月20日発行  756円(税込)

日本銀行は信用できるか (講談社現代新書)日本銀行は信用できるか (講談社現代新書)
著者:岩田 規久男
販売元:講談社
発売日:2009-08
おすすめ度:5.0
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著者は経済学者で、一般向けに経済についての啓蒙書を数多く書かれている方です。本書は日銀の金融政策の批判と提言が書かれていますが、本書のほとんど終わりあたりに書かれている日銀へのメッセージはクリアです。

「日銀よ、透明性と説明責任に向けた改革を恐れることなく、金融政策の信頼確保に向けて、自ら改革の先頭に立って欲しい。実際に、インフレ目標の採用は政府よりもむしろ中央銀行が先導する例が多かったのである。これが、筆者の日銀に向けたメッセージである。」



著者は、20年近くも前から日銀についての問題意識を表明されています。数年前に高橋洋一氏の本が次々と出版されていた頃は、本書の内容のエッセンス的な部分がよく書かれていました。

本書の骨子は、日銀はマイルドなインフレを目標にして金融を緩和的するべきであるというインフレターゲット論ですが、本書ではそうするべき理由や、日銀がなぜそのようにしないかが書かれています。一冊丸ごと一つのテーマが貫かれているので主張は明快です。

本書によると、日銀の金融政策はインフレもデフレも起こらないようにするということのようですが、ここ20年くらいを振り返ると、日銀の金融政策はややデフレの方に偏っている印象を受けます。

個人的になぜデフレがよくないかを考えてみるのですが、やはりもともとそれ自体に価値がない貨幣が時間が経つだけで価値が増えるのは、感覚的に違和感を覚えます。

貨幣の機能は、価値を貯蔵する、価値の尺度になる、交換を媒介するの3つですが、この中ではおそらく交換を媒介する機能が最も重要なのではないかと思います。交換の媒介機能があるからこそ、価値を貯蔵したり、価値の尺度になります。

貨幣を持っているだけでデフレによって価値が増大してしまうと、皆が貨幣を貯め込みがちになって、交換の媒介機能が減少してしまいます。交換が行われないことの恐ろしさは、今回の金融危機で世界中の人々が身に染みてわかっているはずです。

以前も少し書いたのですが、国の経済が活性化することを女性がモテることに喩えると、金融緩和は女性が服装の露出度を高めることに相当します。

女性が男性にモテるためには、大きく二つに分けると、内面を魅力的にすることと、外見を魅力的にすることがあります。男性に対する魅力度を高める一つの方法として、服装の露出度をアップすることがあります。

日本を女性とすると、日銀は女性から外見を魅力することを委託されたスタイリストです。ちなみに、政府は女性の内面の魅力的にするための教育をするアドバイザーです。

男性にモテるためには、内面を充実させて、外見を魅力的にするのが効果的です。いずれも重要です。

政府と日銀は日本経済が活性化しないことについて、お互いの責任を指摘することがあるのですが、これは女性がモテない場合に、スタイリストとアドバイザーがお互いを非難し合っていることになります。

スタイリストである日銀はアドバイザーに内面の「構造改革」を行うように言いますし、アドバイザーである政府は外見の露出度を「緩和」するよう日銀に言います。

男性を惹きつけるセクシーさというものを十分に理解していない真面目なスタイリストである日銀は、なるべく肌を露出しないような服装を女性にあつらえます。

本書で言っていることは、マイルドに服装を「緩和」する、つまり少しだけ露出度をアップさせると男性を外見で惹きつけてモテるようになるということです。

ポイントはマイルドに緩和するということです。緩和しすぎる、つまりインフレ率が高すぎても、かえって男性は引いてしまい、モテなくなってしまいます。

女性の喩えからわかるように、服装の露出度を少しだけアップするのは効果的ですが、それだけでは不十分です。金融政策には限界があり、内面の充実、つまり政府の政策による産業構造の改革が必要です。

内面が充実している女性がマイルドなセクシーさを持つと、女性のモテとしては最強です。

日銀をスタイリスト、政府をアドバイザーとしましたが、日銀も政府も、もともとは女性である国民が委託している存在です。スタイリストやアドバイザーがしっかりしないのは、両者に委託している国民という女性にも責任があります。

女性がモテたいのであれば、スタイリストやアドバイザーを見る目を養うべきです。そのためには、外見を魅力的にするとはどのようなことか、内面を充実させるとはどのようなことかについて、自ら一定の理解をしておく必要があると思います。何でも任せきりはよくありません。



investmentbooks at 23:38│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--日本経済 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
このブログについて
2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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