2009年09月04日
『株で本当に儲けるヤツは、「業種別投資法」を知っている』
長谷部 翔太郎/石川 泰久著
2009年9月17日発行 1575円(税込)
株で本当に儲けるヤツは、 「業種別投資法」を知っている (洋泉社BIZ)
著者:長谷部 翔太郎
販売元:洋泉社
発売日:2009-09-02
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本書は共著ですが、著者の方々はそれぞれ証券アナリストとファンドマネージャーです。株式投資の本は過去に数多く出ていますが、本書に書かれているような「業種別投資法」が、株式投資ののプロの方によって書かれている本は少ないので、そのような意味においても貴重です。
本書は以下のように大きく二つのパートに分けられており、最初が株式投資についての総論的な内容、次に実際の25個に分類された各業種についての解説があります。
- 「業種別投資法」のツボ
- 「業種別投資法」を実践する
一つ一つの業種は、以下のように8つの観点からそれぞれ定量的に10段階に分類されています。
- 逆張り指数---順張り指数
- トレーディング---ホールド
- 景気敏感指数---ディフェンシブ指数
- バリュー指数---グロース指数
- テーマ・材料指数---セミマクロ指数
- 高寡占---低寡占
- 大型株---小型株
- グローバル---国内
著者の方々も書かれていますが、わかりやすくするためにかなり説明が簡明化されているので、実際にはさらに細かい考察が必要ですが、それぞれの業界の特長についての概略を知るためには分かりやすい解説であると思います。
とくに景気変動と関連づけられて解説されているのが参考になります。日本株は世界の景気敏感株といわれていますが、グローバル化した世界経済における成熟期の日本市場への投資に対しては、景気変動と各業種との関係について把握しておくのは重要です。
本書は、各業種を株式投資との関連で分析することがテーマですが、よく読むと各論を通じて株式投資一般に対する総論的な見方が学べるようになっています。また、株式投資のみならず生きた経済に対する視野も広がります。
それぞれの業種について解説されている本はよく見かけますが、本書のようにある程度の深みがある考察を用いて解説されている本はあまりないので、本書は株式投資をする方には有用な本であると思います。
とくに株式投資について一通り基礎的なことを学んだ方が、次のステップにおける理解を深めるためによいでしょう。分量は少ないのですが、最初の総論的な部分も、現在の株式市場の環境も踏まえた上で、非常にポイントが押さえられた解説です。
現在は株式市場の盛り上がりが今一つなので、それに歩調を合わせて株式投資の新刊本は出版点数が少なく、さらに質のよい本はその中でも少ないのですが、本書は良書であると思います。
本書を読むと、日本における大企業の状態について大まかな把握ができますが、少なくとも大企業については、やはり日本は物作りがメインであること、それを世界に輸出しているので、今後の日本経済は世界全体の成長に大きな影響を受けるであろうことが分かります。
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この記事へのコメント
先日、フジテレビのエチカの鏡という番組で清水 克衛さんが紹介していた以下の本が良いので紹介します。
一時アマゾンでも総合2位となっていました。
本の題名→「やさしい」って、どういうこと?
清水さんの書店「読書のすすめ」には、以前うかがって御本人とお話をしたことがあります。その時のことは清水さんの著書を紹介した記事に書いた記憶があります。
本のご紹介をいただき、ありがとうございます。機会があったら書店で見てみます。