2009年09月09日

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『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』5

加藤 陽子著  2009年7月30日発行  1785円(税込)

それでも、日本人は「戦争」を選んだそれでも、日本人は「戦争」を選んだ
著者:加藤陽子
販売元:朝日出版社
発売日:2009-07-29
おすすめ度:4.5
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著者は大学で歴史を教育・研究されている方です。本書は明治以降に日本が関係した戦争を軸に、日本の近現代史について述べられている本です。

本書は歴史に興味のある中高生に対して実際に行われた講義がもとになった本であり、内容の高度さと語り口の平易さが両立している良書です。



歴史についての総論的な導入の後に、明治維新前後からの日本近現代史についての解説が始まります。戦争が軸になっていますが、それらは順に書くと、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、満州事変と日中戦争、太平洋戦争となります。

本書は400ページ以上もの分量がある本であり、文章に隙間が少ないため、非常に読みごたえがあります。歴史はもともと好きなのですが、最近はあまり一般的な歴史についての本を読まないので、通読にかなり時間がかかりました。

本書に描かれている日本の近現代史は、大きな成功の物語であり、そして大きな失敗の物語です。

大きな成功の物語なのは、欧米諸国に比べて近代化が遅れた日本が、明治維新をきっかけに時間とともに確実に国力をつけ、列強諸国と対等の存在になったことです。

大きな失敗の物語なのは、言うまでもなく第二次世界大戦で大きな敗北を喫し、多数の戦死者を出して国土が焦土と化してしまったからです。

成功も失敗もありましたが、本書を読んで感じるのは、明治維新から敗戦までの日本は非常に男性性が強い国であったということです。

国としてみた現在の日本に最も欠けているのは男性性であると思うので、本書からは日本という国が男性性を持っていた時代を振り返ることができます。

ここで言う男性性とは、目標をはっきりさせて努力しながら成長し、外部とも主体性を持って対等な付き合いをすることです。そのためには機会を逃さず適切なリスクを取って、リターンを最大化するようにする必要がありますが、勇気のある戦略性が必要です。

男性性が悪い方向に発揮されると、暴力的になったり融通が利かなくなったりしますが、昭和になってからの日本を見ると、まさにその状態になってしまったようです。

戦後の日本は、その反省からか男性性を放棄してしまいました。しかしながら、望ましくないのは男性性の悪い面であり、男性性のよい面である戦略性などは保っておく必要があると思います。

本書を読むと、不幸な結果になってしまったことに対する反省の思いは生じますが、過去の日本に対してはどこかワクワクする感じもします。それは、日本が戦略的にリスクを取りつつリターンを最大化しようとする男性性を十分に発揮していたことによるのでしょう。

本書から学ぶべきことは、国も適度な男性性を必要としているということです。もちろん男性性をコントロールするのは難しいことですが、自立した大人の国になるためには男性性は欠かせません。



investmentbooks at 23:45│Comments(1)TrackBack(0)clip!本--その他 

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この記事へのコメント

1. Posted by TERRY   2016年10月13日 20:20
中立的なことが重要。

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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