2009年09月15日

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『環東京湾構想―新たな成長と人間本来の生き方のために』4

山 養世/竹村 真一著  2009年9月30日発行 1470円(税込)

環東京湾構想―新たな成長と人間本来の生き方のために環東京湾構想―新たな成長と人間本来の生き方のために
著者:山 養世/竹村 真一
販売元:朝日新聞出版
発売日:2009-09-04
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お二人の著者のうち、山養世氏の本はこのブログで何冊か紹介しました。高速道路無料化や「太陽経済」についての本ですが、これらはいずれも著者が提唱されたものです。ちなみに著者のホームページには、「民主党が政権を獲得した場合の国土交通大臣に指名される」と書かれています。

本書は太陽光発電などによるエネルギー政策を織りまぜつつ、「環東京湾構想」と銘打って、東京と首都圏を生まれ変わらせるための提案を行っています。本書の目次は以下の通りです。



  1. 日本を再生させる環東京湾構想
  2. このままでは首都圏が沈没する
  3. グリッドコミュニティーで地域が生き返る
  4. 進化する街・東京の未来

第1章が山氏、第4章が竹村氏によってそれぞれ書かれています。第2章と3章は両者の対談になっていますが、1章・4章との重複がやや多いかもしれません。

以前に著者の本を紹介したときには、民主党が政権を取ることはあまり現実味がありませんでした。高速道路無料化も単なる本の上での話でしたが、今回の選挙で民主党が圧勝したことにより、高速道路無料化は実現する可能性が非常に高くなっています。

本書は、東京湾を中心とした新たな大規模な都市作りを提唱する内容です。この話は、太陽光発電の利用、高齢化、日本の国際化などと密接な関係があり、著者は「環東京湾構想」を通じて日本経済を再生・発展させることを目的にされているようです。

話のスケールは大きく、もう一本アクアラインを作ることや、羽田と成田の各空港をリニアモーターカーで結ぶ話などがあります。

本書に描かれているのは、東京湾を中心とした壮大な空間設計の見取り図ですが、このような話は重要です。とくに日本にとってはそうです。

日本は経済大国の割に今一つ豊かさを実感できないのは、居住空間や職場空間の問題もあると思われます。空間そのものを広げたりすることはできませんが、効率的な道路設計や移動コストの低下によって、移動をスムーズにすることにより、実質的な空間を広げることができます。

本書には電気自動車による自動運転の将来像などの話も出てきます。もしも車を運転することなく、低コストでスムーズに移動が可能になるとすると、住まいのあり方なども大きく変化する可能性があります。

運転しないで移動できる車ができると、自分の部屋が移動するような感覚になり、座って作業をしているうちにdoor-to-doorでの移動が可能になります。時間はかかりますが、「どこでもドア」のようなものです。

そうすると、今では田舎と思われている房総に住むことなども不便ではなく、むしろ自然が豊富な地域に住むことができるため、都内に住むよりはるかに快適な体験になるかもしません。

いずれにしろ、本書は夢のある本です。生活の快適さがアップして、経済的にも効率性が高まるのであれば、道路を造ったりリニアを作ったりするのもよいと思います。

そのためには、効率を生活やコミュニティーのあり方などにまでさかのぼって考える必要がありますが、本書ではそのあたりの事柄も考察されています。

東京をどのようにするかということは論じられることが多いのですが、「環東京湾」という視点は新鮮な印象を受けます。

本書のような生活に密着した比較的スケールの大きな議論は、今後の日本の発展のためにも、もっとなされてもよいかもしれません。



investmentbooks at 23:09│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--日本経済 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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