2009年09月26日
『収入複線化マニュアル』
藤井 孝一著 2009年9月25日発行 1000円(税込)
収入複線化マニュアル (Kobunsha Paperbacks 29)
著者:藤井 孝一
販売元:光文社
発売日:2009-09-18
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著者は経営コンサルタントをされており、週末起業などで有名な方です。本書は週末起業についても述べられていますが、収入複線化ということでより幅広く副業について書かれています。
本書では各種の副業の具体例が、体験者へのインタビューと著者のまとめから構成されています。各章のタイトルを見るとどのような副業があるかがよくわかります。
- 「収入の複線化」とは?
- 6つの視点と6つの質問で自分に合った稼ぎ方を見つけよう
- アルバイト
- ネット副業
- 週末農業
- 週末起業
- 不動産投資
- 「副業ロードマップ」で生涯続く収入源を量産する
番外編として、「株式投資・FX」があります。農業があるのが世相を反映しています。
アルバイトから不動産投資まで、リスクや難易度に応じてさまざまタイプの副業が解説されています。
数年前の好景気の頃は起業がブームになっており、起業をすすめる本も景気のよい内容が多かったのですが、現在は不景気のためか本書は金額的にも地道な印象を受けます。地道ですが、それだけ現実に即しているとも言えます。
現在は景気は悪いのですが、昔と比べるとはるかに副業はやりやすくなっているようです。インターネットも発達していますし、会社も副業に対して昔よりは寛容になりつつあるからのようです。
会社が寛容になってきているのは、以前ほど社員に保障を与えることができなくなってきたということもあるのでしょう。時代の流れとしては、本書のテーマのように収入は複線化する方向に向かっているのかもしれません。
副業のよいところは、リスクが少ないことです。本書でもリスクを少しづつとるべきであることを強調されています。資産運用で考えると、ベースを国債や定期預金で運用して、余剰資金で株式投資などのリスク資産で運用することに相当すると思います。
これからの時代は、本業しかしないのは、資産運用ですべての資産を国債や定期預金にするようなものです。一見安全なように思えますが、すべての資源を集中させており、実は安全ではありません。
副業をすることはリスクを取っているようにも思われますが、実はリスクを分散して低下させていることになります。
本書は「収入複線化」の本ですが、本当は収入複線化というよりもそのことを通じて主体的に生きるための本だと思います。
日本人一人一人が主体的に生きるようになると、国全体としての生産性やリスク対応能力も上がります。と言うか、今後の世界において日本の国の力を高めるためには、一人一人が自立して生きる能力を高めることしかないのかもしれません。
本書をたんに少しだけ収入を増やすための本として読むのはもったいないと思います。最初はそのような目的として読んだとしても、本書に書かれていることを自分で試行錯誤しながら実践しているうちに、「覚醒」するかもしれません。そうすると本書が持っている本質的な意味に気づくことでしょう。
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この記事へのコメント
>これからの時代は、本業しかしないのは、資産運用ですべての資産を国債や定期預金にするようなものです。一見安全なように思えますが、すべての資源を集中させており、実は安全ではありません。
これは、現在もある程度の能力を発揮できている人がリスク分散という意味では可能かも知れません。
しかし、そんな能力のある人は一部ではないでしょうか。
私も含め、今の仕事の収入だけでは生活自体がいっぱいいっぱい(仕事の能力もいっぱいいっぱい)。
こんな人たちが副業をしたらどっちつかずで本業すら失いかねない危険があると思います。
副業は、成功者の手前のエリートにのみ有効であって、大勢を占めるその日暮らしレベルのビジネスマンには難しいのではないでしょうか。
本書の紹介の仕方があまりよくなかったようです。本書で紹介されている副業は、比較的ハードルが低いものからあり、たとえばインターネットのオークションなどもあります。
時間やコストをかけず、リスクもあまり取らないことを書かれてもいます。
おそらく著者が対象にされているのは、現在の状況を改善したいと思っている方ですので、まさになべさんが書かれている多くのビジネスマンが対象になっていると思います。
もしも「いっぱいいっぱい」に感じておられるのだとしたら、そうであればこそ本書は読んでいただく意味があるかもしれません。
能力があるから副業をするというよりも、能力をつけるための手段として副業を利用するといった感じです。
もしも機会があれば、書店で眺めていただくと、本書の主旨がわかると思います。