2009年09月29日
『放浪ニートが、340億社長になった!』
中村 繁夫著 2009年9月17日発行 1500円(税込)
放浪ニートが、340億社長になった!―世界90か国で学んだ人生を楽しむ仕事術
著者:中村 繁夫
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2009-09-18
おすすめ度:
クチコミを見る
著者は長年商社でレアメタル専門で仕事をされ、退職後自分でレアメタル専門の商社を数年前に創業された方です。著者のレアメタルや仕事術の本は、本ブログでも過去に何冊か紹介したことがあります。
本書も、著者のレアメタルを求めての世界各国の放浪や海外でのビジネスの交渉術などが体験的に綴られています。タイトルに「340億円社長」とありますが、著者が設立されたレアメタル専門の商社は、数年前のレアメタル高騰によって倍々ゲーム的に急激に売り上げを伸ばしたからのようです。本書の目次は以下の通りです。
- ”1000分の3(センミツ)”の世界で、お宝を見つけるんや!
- ”日本のユダヤ人”が教える世界最強の交渉術
- 行動と経験だけが、洞察力を高めてくれる
- 商売のコツは”放浪ニート”で身につけた
- 大きな船に乗るよりも、俺と一緒に小さな海賊船で夢を見ないか
章のタイトルからは、著者は最前線での現場における生の実体験を非常に重視されていることがわかります。著者は「現場・現物・現実」の「3現主義」を提唱されています。
著者の過去の本は読んでいて面白いものがほとんどなのですが、その面白さはそのあたりに由来すると思います。
レアメタルについては国の方も数年前から力を入れ始めているようですが、著者の本の影響もあるのかもしれません。本書ではなく著者の別の本でですが、著者がレアメタルについて国から意見を求められたエピソードを読んだように記憶しています。
現代においては、リスクを取るべきフロンティアが物理的な空間から徐々に抽象的な場に移行しており、リスクを取るのは知的な部分の要素が強くなってきていますが、本書における著者の体験は物理的・身体的なリスクを取っていることについての面白さがあります。
基本的にリスクを取っている人の本は面白いと思います。とくに男性はリスクを取ることが性的な役割の一つなので、本書はとくに男性にとって面白く感じられるはずです。男性は自分でリスクを取る勇気があまりない人でも、他の人がリスクを取る話には興味を持つことが多いと思います。
日本人はあまりリスクを取らないと言われることがあります。たしかにその傾向はあるかもしれませんが、環境によってはリスクを取ることが好きな人々もそれほど少なくはないと思います。
著者の会社がハイリターンなのは、リスクを取っているからであると思いますが、リスクを取る日本人が少ない分だけ、リターンが大きくなっているかもしれません。
日本ではハイリスクハイリターンの分野は、リスクが過大評価されているため、まだまだ効率的でない可能性があります。
このことが国内だけで終わればあまり問題はないと思いますが、諸外国と競合する分野だと、国全体のリターンが少なくなってしまうかもしれません。
本書のような本がよく読まれると、リスクを取りたくなる日本人が増えるかもしれません。ちょっと大げさに書くと、本書は日本人のハイリスクを取る人々の層を厚くして、国全体のリターンを増やすような効果があるかもしれません。