2009年10月13日

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「代替エネルギーバブル」の次のバブルは?

先走ったタイトルです。代替エネルギーはまだバブルになっていませんし、バブルになるかどうかすらわかりません。

石油は常に生成され続けており枯渇しないという説もありますが、一般的な考え方としては遅かれ早かれ将来的に化石燃料は地球上から枯渇する可能性が高いので、代替エネルギーの開発に資金が集まる必然性は存在します。

タイトルの「代替エネルギーバブル」にカッコがついているのは、まだそれが現実化するかどうか確定していないからですが、もしも代替エネルギーバブルが起こるとすると、その次はどのようなテーマでバブルが生じるでしょうか?



代替エネルギーがバブルになり、その開発に過剰な投資が生じて技術革新が起こった後は、太陽光、太陽熱、風力、地熱など自然からクリーンなエネルギーを極めてローコストに取り出せるようになっているはずです。

半導体ほど劇的な価格低下が起こるかどうかはわかりませんが、この分野で数十年間にわたって技術革新を伴った進歩が続くと、エネルギー価格は現在に比べてかなり低下する可能性が高いでしょう。

そうなると、次に必要なものは何でしょうか?

おそらく、次に求められるものは、人間が肉体を使ってする作業を肩代わりするロボットのはずです。現在も工作機械などのロボットはありますが、人間の日常生活で行う作業を変わりにしてくれるロボットはありません。

日常生活で行う作業とは、掃除、選択、買い物、料理、荷物運びなどです。これらの作業をする機械は、現在でも一部ありますが、まだまだ作業の全体を任せきれるほど人間の代わりになる高性能なものは存在しません。

ロボットが動くためにはエネルギーが必要ですが、将来はエネルギーが安価になっているので、ほぼ無制限に使えるようになっています。そうなると、次に求められるのは、そのエネルギー効率的に種々の作業に変換するものであり、それはロボットになるでしょう。

現在でもコンピューターは人間の脳の代わりをしてくれるロボットのようなものですが、あくまで思考の部分だけです。人間の脳にできてコンピューターにできないこともありますが、それ以外の機能では人間はコンピューターにはるかに及ばなくなっています。

現在からみても実現化しそうなロボットでわかりやすいものは、自動運転をする自動車です。自動運転をするので、人が長距離を移動することの概念を変化させることでしょう。その自動車には人が乗っていなくても、「おつかい」もしてくれることでしょう。

さらに身近なことをしてくれるプログラムによってカスタマイズ可能なロボットと組み合わせると、比較的単純な労働については、ほとんど人間がすることはなくなってしまうことでしょう。

エネルギーがその上限を考えなくてもよいほど供給されるようになると、次に必要とされるのはロボットなので、そのうちロボットバブルが起きることでしょう。ただし、何十年先になるかはわかりません。

ロボットが高度になると、新たなロボットを作る作業をロボットがするようになるはずです。そのロボットは、無制限に供給されるエネルギーを一定時間ごとに自己充電するので、適切なプログラミングがいったんなされると、半永久的に作業を続けることになります。

エネルギーが十分に存在すると、ボトルネックになるのは人間の肉体労働力のはずです。そのボトルネックの解消は大きな価値を産み出すので、自然に資金が集まることでしょう。資金が集まるとバブルになります。

さて、「ロボットバブル」がおこって、エネルギーと同じように高機能のロボットが安価に、つまり人間以外による労働力が事実上無制限に供給されるようになるとどうなるでしょうか?

おそらく、人間が必要とするものはほぼ無制限に供給されることになります。食物も、住居も、移動手段もロボットが働くことによって与えられます。

このような状態になると、市場は必要でなくなるかもしれません。なぜなら、市場は有限な資源を効率よく配分するための仕組みだからです。

また、貨幣の意味も少なくなってしまうかもしれません。なぜなら、日常的に必要なものは貨幣を介さずとも手にはいることが多くなると思われるからです。

また、資本主義も制度として消滅するかもしれません。なぜなら、資本主義の目的は資本を増殖させることですが、貨幣が持つ意味が少なくなれば、資本の価値も減少するはずだからです。モノと労働力がふんだんにあれば、資本を増やすモチベーションは下がってしまうことでしょう。

このような世界においては美などの精神的な快を与えるものや、健康の価値が上がることは予想されます。それらの配分は問題になるかもしれませんが、人間の過剰になった知恵と労働力は、それらの配分の問題すら速やかに解決してしまうかもしれません。

最終的に資本主義は資本主義自身の発展によってアポトーシス的に滅んでしまいそうです。マルクスが主張したこととは別の形になってしまいますが、共産主義は資本主義と対立して資本主義を滅ぼしてしまうものではなく、資本主義の終着点なのかもしれません。



investmentbooks at 22:58│Comments(6)TrackBack(0)clip!つぶやき--その他 

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この記事へのコメント

1. Posted by (k・д・w)   2009年10月14日 15:33
さすが、書評以外の記事も読み応えがありますね。

エネルギィが安価になった時代、楽しみです。
2. Posted by bestbook   2009年10月15日 00:13
(k・д・w)さん、コメントありがとうございます。

記事を御評価いただきありがとうございます。代替エネルギーの技術革新が起こるかどうかは不確実な部分ですが、将来に夢が持てるような内容にしてみました。

自分たちが生きているうちに、記事のような時代を少しでも目にしてみたいものです。
3. Posted by jk   2009年10月16日 18:22
いつも楽しく、拝読させていただいております。いつになく面白い趣向ですね。
無限のエネルギー、無限の資源というのは、分母によって変わるのではないでしょうか。100億円を一人で使うのと、1億人で使うのでは、有り難味が違います。
現在無限のエネルギー源は太陽といえますが、人口がさらに増大すればやがては無限でなくなるように思います。
現在の先進国の不景気は、人口の多い中国インドがIT革命などによって市場に参加したため、分母が増大し先進国での可処分所得を希釈し激減させているからではないでしょうか。
マルサスの罠?にはまったのかしらと思います・・・。
人口増がストップしないがきり、有限であるエネルギーの奪い合いは永遠のテーマではないかと思えます。
4. Posted by bestbook   2009年10月17日 16:18
jkさん、コメントいただき、そしていつもお読みいただきありがとうございます。

お書きの通り、新興国の経済成長と人口増加は続いているので、エネルギーの争奪はすぐには解決しそうにないと思います。

しかしながら、新興国が今後も経済成長を続けて、現在の先進国なみの豊かさを手に入れると、現在の先進国がそうであるように、人口増加率は減少し世界全体の人口が定常状態になる可能性もあるかもしれません。その頃は世界人口は100億人くらいになっているかもしれませんね。

ブログの記事は極めて楽観的なシナリオなので、ご指摘いただいたように、現実的には乗り越えるべき数多くの問題があると思います。

エネルギーの争奪が少なくとも数十年は重要なテーマであり続けることはお書きの通りと思います。それだけに代替エネルギーの開発に資金が集まりやすそうです。有用なご指摘ありがとうございます。
5. Posted by jk   2009年10月19日 11:31
ご返答頂戴し、ありがとうございます。
私も、是非ロボットが普及して、生活の心配がなくなり、働かなくてもよい時代が来る事を願っております。
ネガティブ思考なもので、できない理由をついつい書いてしまいました。
今後もご活躍を応援しております。
6. Posted by bestbook   2009年10月20日 00:32
jkさん、コメントありがとうございます。

否定でも肯定でも、いずれにしろ自分以外の方の意見は参考になります。励ましの言葉をいただきありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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