2009年10月20日
『金融危機で失った資産を取り戻す方法』
中原 圭介著 2009年10月30日発行 1575円(税込)
金融危機で失った資産を取り戻す方法
著者:中原圭介
販売元:フォレスト出版
発売日:2009-10-22
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ベストセラーになった『サブプライム後の新資産運用』の著者による新刊です。著者は、世界経済の予測を相場の観点から分析した読みやすい本をよく書かれています。
昨日の本と同様に、本書もバブルがテーマです。相場が少しでも持ち直してくると、下落相場で傷ついた資産と心を期待で癒すためか、バブルは本のテーマになりやすいのかもしれません。本書の目次は以下の通りです。
- 巨大バブルへのシナリオは、すでに動き始めている!
- バブルを仕掛けるアメリカの「真の狙い」
- 変貌する世界経済
- 新たな流れに取り残される日本経済
- 金融危機で失った資産を取り戻す方法
本書の根底には、アメリカがバブルを起こそうとしているという著者の推測があります。
本書は著者の推測の部分が多く説明も簡潔です。推測が多い部分を面白いと思うかどうか、簡潔な説明をわかりやすいと評価するかどうかなどで、本書の感想は人によって大きく異なるかもしれません。
環境バブルが来るのではないかという話は、しばらく前から本や雑誌でよく目にしますが、皆が来るかもしれないと予測するような状態で、本当に起こるのかどうかという疑問はあります。
インターネットバブルがはじけたのは2000年でしたが、1996年にはすでに日本で『インターネット・バブル』という本がありました。この本はインターネットの問題点について書かれている本でしたが、実際のバブルが盛り上がるかなり前から、少なくともインターネットとバブルは関連づけて考えられていたわけです。
そのことを思うと、環境バブルについても、よく話題になるからといって必ずしもバブルにならないとは言えません。
地球温暖化については、二酸化炭素との因果関係が必ずしも科学的に証明できているわけではないという立場を本書は取っています。二酸化炭素と地球温暖化を関係づけるのは、二酸化炭素排出権取引市場にバブルを生じさせるという目的があるからだそうです。
著者の本は日本の将来については悲観的に書かれていることが多いのですが、やはり日本については本書でもあまり楽観的には書かれていません。
環境バブルが起こるとすると、環境・省エネ技術先進国である日本は恩恵を受けると思われやすいのですが、本書では日本の技術は高度すぎるため期待されているほどには恩恵を受けないかもしれないと述べられています。
それでも、環境関連のスマートグリッド、原子力、電気自動車と電池に関係する銘柄は、上昇すると予想されているようで、本書では関連する銘柄が具体的に挙げられています。
株式投資をする場合、環境関連の銘柄にどの程度資金を配分するかは悩ましい問題です。バブルになるかどうかはわからないのですが、もしも実際にバブルになるとすると、投資していれば得られたはずであろう利益を逸してしまいます。
また、世界的に著明な投資家や機関投資家も環境関連銘柄には注目していたり、実際の投資を大規模に行っていたりします。結局のところ、なるべく多くの情報をインプットして、自分の頭で考えて、自分で決断するしかないようです。