2009年10月21日
『生命保険のカラクリ』
岩瀬 大輔著 2009年10月20日発行 819円(税込)
生命保険のカラクリ (文春新書)
著者:岩瀬 大輔
販売元:文藝春秋
発売日:2009-10-17
おすすめ度:![]()
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著者はインターネット専業の生命保険会社であるライフネット生命を創業し、現在は副社長をされている方です。本ブログでは『ハーバードMBA留学記』という著者の本を2年くらい前に紹介しました。
その著作では、たしか事業を立ち上げ始めるところで話が終わっていましたが、その後実際に開業にいたり、現在会社は順調に軌道に乗り始めていることが本書からもわかります。本書の目次は以下の通りです。
- 生保のGNP---義理・人情・プレゼント
- 煙に巻かれる消費者---誤解だらけのセイホ
- 儲けのカラクリ---生命保険会社の舞台裏
- かしこい生保の選び方
本書には読み手の立場によっていくつかの読み方があると思いますが、最も一般的なのは消費者の立場として読むことです。
本書に繰り返し書かれているとおり、今まで日本人は「生命保険のカラクリ」を理解せずに、「義理・人情・プレゼント」の営業を介して保険を購入してきました。
そのような営業のため、業界の内部事情や収益構造はブラックボックスでしたが、本書には具体的な数字とともに業界の収益構造までもがわかるようになっています。自分で理解してから保険という金融商品を購入したい人にとって、本書は良質な案内になっています。
本書を通じて業界の収益構造を理解すると、今までの日本人がいかに保険を割高に購入していたかがよくわかると思います。
本書のあとがきに「かしこい消費者」という言葉が出てきますが、まさにこの言葉が本書のキーワードです。いままで生命保険が割高になっていたのは、消費者がかしこくなかったからですが、昔はあまり情報が公開されていなかったので仕方ない面もあります。
情報の公開があまり進んでいない以前は、価格の適正さがわからず、売り手が強い時代でした。昔の日本では大企業に就職することを多くの人が望んでいましたが、それは大企業が売り手として強力な存在であったので、富が集まりやすかったからでしょう。
しかしながら、現在はインターネットの発達などにより情報が入手しやすくなったため、消費者の立場が強くなっています。現代においては、自分が「かしこい消費者」になること、そしてビジネスをするのであれば「かしこい消費者」にアピールするようなものを行うことがよいのかもしれません。ネット生保はまさにそのようなビジネスです。
ただし、生命保険はシンプルなものでも理解されにくい部分があります。なぜならば、人間は事柄を確率・統計的に理解することが苦手だからです。確率・統計的な理解はある程度の思考の訓練が必要です。
ユニクロと比較するとよくわかります。ユニクロも消費者の立場に立っているブランドですが、ユニクロの服の評価は特別な訓練を受けていなくても、着心地、デザイン、価格などを感覚的に把握できます。
しかしながら、生命保険はそのようなわけにはいきません。ネット生保事業が大きく拡大するかどうかは、「かしこい消費者」をいかにして増やすかによると思います。消費者がかしこくなりさえすれば、ネット生保の事業が拡大するのは必然的な流れです。
本書は「かしこい消費者」を増やす目的としても書かれていると思います。本書を理解すると、生保に加入するのであればネット生保と思うことでしょう。著者の会社では、消費者の啓蒙と営業がイコールです。著者の会社の将来は、消費者がいかにかしこくなれるかにかかっていると思います。
たとえ消費者が十分にかしこくならなくても、ある程度口コミなどでセット生保の方がトクとわかれば、加入者数は伸びるかもしれません。そうなると、ネット生保の存在によっていままで保険外交員の人件費などになっていたお金が家計に貯まることになります。
しかしながら、そのような状態で家計にお金が蓄積されたとしても、消費者がかしこくなければ、その蓄積されたお金を十分に活用できない状態は同じです。ネット生保ができて保険が効率化されても、個々人の金融リテラシーが高くならない限り、浮いたお金は別の非効率的なところに流れてしまいます。
著者は日本をよくしたいという大きな志をお持ちのようなので、本書のように日本人の生命保険の理解を高めることを通じて、日本人の金融リテラシーそのものを高めるような役割を期待したいと思います。
数多くの日本人の金融リテラシーが高まりさえすれば、その結果として著者の事業は自然に大成功するはずです。
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この記事へのコメント
ネット生保加によって家計に蓄積されたお金は単純に消費に回れば良いのではないでしょうか?
お書きの通り、ネット生保で家計に残るお金は消費にまわると思います。
ただし、ネット生保によって家計に残るお金は、いままでの生保で外交員の人件費などであったものが多いはずであり、それらはもともと外交員の方々の家計で使われていたのでいずれにしろ家計を通じて使われるお金です。
やはり重要なのは、それぞれの家計がいかにお金をうまく配分・運用するかであると思います。
ネット生保の理解を通じて、各家計の金融リテラシーが高まるとよいと思います。ご指摘いただきありがとうございました。








