2009年10月22日

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『邱永漢の「予見力」』4

玉村 豊男著  2009年10月21日発行  756円(税込)

邱永漢の「予見力」 (集英社新書 514A)邱永漢の「予見力」 (集英社新書 514A)
著者:玉村 豊男
販売元:集英社
発売日:2009-10-16
おすすめ度:5.0
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著者は執筆、画家、ワイナリー経営など多方面で活躍されている方ですが、邱永漢さんとは長年の知己のようです。

本書の中身は、半分くらいが著者の邱永漢さんへのインタビューになっています。それ以外の部分は、著者と邱永漢さんの中国農業視察記といった内容です。本書の目次は以下の通りです。



  1. 波の向こうの流れを見る
  2. アジア農業の新しい地図を描く
  3. 中国人の和牛牧場
  4. タバコ工場のワイナリー
  5. フロンティアは西へ
  6. 邱永漢の目のつけどころ
  7. 十年後の中国と世界はどうなっているか

本書では中国の農業の話がよく出てくるのですが、邱永漢さんへのインタビューの話には、中国経済における今後の見通しのほかに、ビジネスや投資などの一般的な話も出てきます。

中国農業の視察記は現地の事情が具体的に記述されていることもあり、中国事情に興味がある場合には参考になりますが、読んでいて面白いのはなんといっても邱永漢さんの話です。

邱永漢さんはすでに85歳になられているようですが、現在も中国での農業ビジネスを中心に数多くの新規ビジネスに関わっておられるようです。一般の85歳の方を思い浮かべると、邱永漢さんの旺盛な活動力には驚かされます。

中国で農業ビジネスを立ち上げからされているのは、今後の中国では食糧不足が起こると「予見」されているからのようです。中国が食糧不足になるのであれば、世界全体が食糧不足になり、食料品は高騰し、農業は「儲かる」ビジネスになることでしょう。

このあたりの予測はジム・ロジャーズと同じです。そして、両者とも現地を自分の目で何回も見ているということも同じです。

本書からは中国の大きな潜在成長力を読み取ることができますが、それと同時に中国ビジネスの難しさも伝わってきます。邱永漢さんの中国でのビジネスが順調なのは、中国で必要とされるコネクションなどを持っていることもあるのでしょう。

本書では中国で起こりうるいくつかのトラブルについて具体的に説明されいる部分があり興味深いのですが、やはりリスクは高いようです。その分うまくいったときのリターンも大きくなるのかもしれません。

本書を読んでも、自分で中国に行ってビジネスを立ち上げようとする日本人はほとんどいないと思います。本書にもそのようなことが書かれていました。自分では中国でビジネスをしないにしても、本書は中国株に投資をする際の参考になると思います。



investmentbooks at 23:12│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--中国経済 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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