2009年10月23日
『空気を読むな、本を読め。 小飼弾の頭が強くなる読書法』
小飼 弾著 2009年11月7日発行 1500円(税込)
空気を読むな、本を読め。 小飼弾の頭が強くなる読書法 (East Press Business)
著者:小飼 弾
販売元:イースト・プレス
発売日:2009-10-22
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本についてのブログを書いていれば、やはり本書は気になってしまいます。著者は著名なブロガーで、書評の記事を数多く書かれています。このブログを読まれている方には解説は不要かもしれません。
本書はまさに読書法や本について書かれている本です。著者は本の目次の重要性について本書で強調されていますが、本書の目次は以下の通りです。
- 本を読め。人生は変わる
- 本を読め。答えは見つかる
- 「手」で読め。そして「脳」で読め
- 本を読んだら、「自分」を読め
- 本は安く買え。そして高く飛べ
- エロ本も読め。想像力を養え
- マンガを読めば「世界」がわかる
本書は著者の本に対する強い思い入れが伝わってくる内容です。本書には具体的なノウハウも書かれていますが、一言で本書の内容を述べると、「とにかくどんどん本を読め」ということになるでしょう。
たしかに「読書法」を学ぶ時間があれば、とりあえず自分で本屋に行って気になる本を手当たり次第読む方がよいかもしれません。本書によると、一番の読書法は大量の本を読むことのようです。
これは読書に限らず、多くのことに当てはまると思います。結局何かを身につけようと思ったら、とにかくそのことに莫大な時間を費やすのが一番です。多くの時間をかけているうちに、自然と自分で要領がわかったり、どのような情報を取り入れたらよいかもわかってくることが多いと思います。
英語のついても学習法の本は数多く出ていますが、一番の上達法はとにかく時間をかけることでしょう。
小飼弾さんは今までに何冊か本を書かれています。一般向けに書かれている著作は本ブログでも紹介させてもらいましたが、豊富な読書体験に裏付けられた独特の発想には唸らされることが多くありました。
しかしながら、今までの本はその本の内容の面白さや価値に比例するほどには売れていないかもしれません。少なくとも勝間和代さんの本ほどではないと思います。両者の違いは何によるのでしょうか?
以前勝間和代さんの本を紹介したときに少し書きましたが、両者の違いの理由は、男性性と女性性のバランスにあるのではないかと思います。
勝間和代さんの本は、男性性の発達を促す内容が多いと思うのですが、小飼弾さんの本の内容も非常に男性的です。本書のタイトルも「空気を読むな」とありますが、これは非常に男性性の強いアドバイスです。
両者が読者に伝えたいメッセージは、男性性を発達させることの重要性という点において本質的には同じです。しかしながら、メッセージを伝えるスタイルに違いがあります。
勝間和代さんは女性ということもあり、女性が女性的なスタイルで男性的なメッセージを伝えています。いくら勝間さんが男性的な内容のことを書かれても、もともとが女性なこともあり、さらに書き方も女性的であるので、文章は女性的な雰囲気が溢れています。
一方、小飼弾さんは男性的な内容を、男性性の強いスタイルで伝えています。現代の日本は全体的に女性性が強い状況なので、著者のような存在は憧れの対象になりやすいのですが、自分も同じようなルートをたどろうとは思われにくいかもしれません。
本書は内容的にはやはり非常に男性性が強く、語り口調も男性的です。しかしながら、今までの本よりは女性性の要素が含まれています。最も顕著なのは表紙やオビです。
本書の表紙には、ピンク色の文字、赤い服など女性的な色が多く用いられています。著者のポーズなども女性的です。また、中身も二色刷で赤色が多用されており、多くの図は丸みを帯びています。
ただし、本書の内容と文体は男性性が強いので、読んだ後はやはり男性性が強い印象が残ります。本書は自分が本好きなこともあり非常に面白く読めましたが、男性性の強い小飼弾さんが女性性の強い内容の本を書かれたらどのようなものになるかも興味があるところです。
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この記事へのコメント

村上龍さんの書かれたものは、男性性が強いようですね。その時代に流行っている小説などの本からも、その時代の流れがわかるということもあると思います。