2009年10月27日

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『夢をかなえる「打ち出の小槌」』4

堀江 貴文著  2009年11月14日発行  1260円(税込)

夢をかなえる「打ち出の小槌」
著者:堀江 貴文
販売元:青志社
発売日:2009-10
おすすめ度:5.0
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ホリエモンの新刊です。著者の本は3ヵ月くらい前に『新・資本論 僕はお金の正体がわかった』を紹介しましたが、本書は内容が重なっている部分も少なからずあります。

どちらかというと、本書はより若い人向けに書かれていると思います。また、内面的なことも書かれており、そのあたりも興味深いところです。本書の目次は以下の通りです。



  1. 夢をかなえる「打ち出の小槌」とは?
  2. ゼロになることを怖がらず、挑戦しよう
  3. 夢を邪魔する常識の殻を破れ
  4. 適度な借金でさらなるショートカットを

本書は大きく四つの章に分かれていますが、それぞれの章ではその章のタイトルに関連した概念について著者の考え方が述べられています。たとえば、お金、成功、教育、不安などですが、多くの人が日常的に気になることについてはだいたいカバーされています。

著者の言っていることはいつも独特の合理性が貫かれていますが、本書も全体的に合理的な印象を受けます。やや意外だったのは学歴に対する肯定的な評価ですが、御自身の体験から来ているようです。

本書には内面的なことが書かれていると言いましたが、不安、とくに死に対する不安について述べられています。不安を感じないための著者の方法は忙しくすることのようです。

世間的に大きなことを成し遂げている方は、心の中に満たされない大きな部分があることも多いと思うのですが、著者の場合は死に対する恐怖心なのかもしれません。

死に対する不安は実存的な不安です。実存的な問題は、解決という言葉をどう考えるかにもよるのですが、社会的な活動のみで根本的には解決することができないと思います。なぜなら、社会は実存的な問題から目をそらさせるような働きがあるからです。

ただし、社会に参加せず実存的な問題を考え続けても、必ずしも実存的な問題に対する答えが得られるわけではありません。

おそらく最もバランスがよいのは、適度に社会に参加しつつ実存的な問題意識を持っていることですが、バランスのよさはとんがっているをなくしてしまうことが多いかもしれません。

とんがっている部分は魅力的な部分でもあります。本書の魅力も、著者のとんがっている部分によるところが大きいと思います。

社会的と実存的を対立軸で考えると、著者の本は実存的な問題意識に偏りすぎて人生を考えすぎてしまっている人が読むと最も意味があるかもしれません。

著者はうっ屈している若者に支持されている面もあると思いますが、ものごとの意味を考えすぎている人に不足しているのは、著者のような実用的、合理的な行動力です。

本書を読むと、著者は具体的なものにあまり執着心がないように感じます。ものに執着心がある人が多いことが問題なのは、世の中全体の流れが悪くなるからです。

おそらく著者にとって重要なのは、どれだけ多くのものを持つかではなく、どれだけ多くのものを自分を通じて流すことができるかなのでしょう。

著者についてはさまざま評価があるとは思うのですが、やはり日本に欠けているところを補って、国を活性化するような役割があるのではないかと思います。



investmentbooks at 23:51│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--人生指南 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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