2009年11月10日

この記事をクリップ! Yahoo!ブックマークに登録 このエントリーを含むはてなブックマーク

『大収縮 検証・グローバル危機』4

日本経済新聞社編  2009年10月29日発行  1785円(税込)

大収縮 検証・グローバル危機大収縮 検証・グローバル危機
著者:日本経済新聞社
販売元:日本経済新聞出版社
発売日:2009-10-30
おすすめ度:5.0
クチコミを見る

表紙が赤色なので書店での平積みが目立っていました。本書は今年の4月から9月にかけて書かれた日経新聞日曜日の同名の連載が、一部加筆されてまとめられたものです。

連載が終わって1ヶ月ちょっとで出版されてるので、単行本の情報としては新しいと思います。リーマン破綻から1年間の世界の金融における流れが、キーパーソンとなるさまざまな政策担当者、経営者、学者の方々などのインタビューを交えて解説されています。本書の目次は以下の通りです。



  1. リーマン破綻 「9・15」の衝撃
  2. 当局の闘い
  3. GEの苦闘
  4. 危機はいつから
  5. リーマン破綻から1年

新聞の連載が元になっているので記述は淡々としています。ところどころで著名人にインタビューしていますが、非常に短くまとめられているため、もっといろいろと訊いてみたくなるところです。一人一人が有名な方なので、考え方によっては贅沢な話かもしれません。日経新聞社ならではです。

金融危機の理屈の部分については、いままで多くの本に書かれている通りなのですが、本書では何名かの経営者の方の見通しなどが、今後の景気判断の参考になるかもしれません。

インタビューを読むと、それぞれの方が納得できることを言われているのですが、ほとんどの方が問題がこれほど大きくなるということを予測できていなかったわけです。

予測できていたとしたらこれほど大きな問題にはならなかったので、後から振り返って大きな金融危機について話を関係者に聞くと、危機を予測できなかったという話になるのは論理的に考えると仕方ないのかもしれません。

本書には今だから話せるということが出てきますが、そのような話は現在もあるはずであり、今話せなくても一年後には話せるということもあるはずです。

マスメディアが特集を連載して、その連載が単行本になるような時期は、その問題の山は越えていることが多いと思いますが、今回の問題についてはまだ分からないところです。

また、あるブームについて本書のような本が出ると、そのブームの峠は越えていることもよくあります。イギリスが金融によって再生したという内容の本を2年くらい前に紹介したことがありますが、その本も本書と同じような構成の本でした。

いまから考えると、その本が出たタイミングはイギリス経済が峠を越えて下り始めたかどうかの時期に相当していたようです。

本書は本の性質上、必ずしも読んで手に汗握るような面白さはなく、深さもありませんが、コンパクトで簡明なまとめによってこの1年間の金融危機をタイムリーに振り返るにはよい本かもしれません。



investmentbooks at 23:50│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--世界経済 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
プロフィール
bestbook
家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
このブログについて
2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
ブックマークに登録
このブログをソーシャルブックマークに登録
このブログのはてなブックマーク数
アマゾン検索
月別アーカイブ
QRコード
QRコード
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ