2009年12月26日
家業再生2
経営自体は15年前から雲行きが怪しくなっていたのですが、父以外の人間がそのことを知ったのは今から5年前になってからです。経営が順調でなくなっても、父はお金のことは全く家族には口にせず、自分一人で抱え込んでいました。
これは経営のことについては家族に心配をさせたくないという父の思いに加えて、社長として、あるいは家長としてのプライドもあったのかもしれません。家業の経営状況が思わしくないことがはっきりと明らかになったのは、5年前の父からの電話がきっかけでした。
5年前の年末のある日のこと、郷里の父から電話がありました。男親である父が息子に直接電話をするのはそれほどないことです。とりとめなくやや不自然な近況報告のやりとりの後、父は言いにくそうに話を切り出しました。
「実印と印鑑登録書を送ってもらいたい。」
いきなりの話にどう答えてよいかわからず返答をせずにいると、さらに父は言いました。
「お金を借りたいので、保証人になってもらいたい。絶対に迷惑をかけることはないから、何も聞かずに送ってくれないか。」
金額や返済期間、そして何のためにお金を借りるのかを全く知らされずこのように言われても納得できるはずもありません。そもそも印鑑登録をしている実印すらない状態でしたし、実印を郵送するという発想にもついていけません。
しばらく押し問答がありましたが、長いやりとりの後でこちらに実印を送る気がないことを悟った父は、以下のように言って電話を切りました。
「とにかくお金を借りないといけないので、申込書だけ送るからその内容を見て印鑑を押してほしい。」
数日して借金の申込書が送られてきました。借入金額は500万円で、返済期間は5年でした、借り入れ資金の用途は運転資金になっていました。
父の表情から経営状態が思わしくないことはうすうす感じていましたが、運転資金を借りないといけないほど状態が悪化しているとは思いもしませんでした。結局その時は保証人になりました。
その後折に触れて電話などで父に経営状況を尋ねても、「心配する必要はない。お金のことはすべてわかっている」としか答えてくれません。釈然としない思いは続いていましたが、その後とくに問題なく1年が過ぎようとしていました。
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この記事へのコメント
前回から読んでますが、想定外の展開(汗)。
私は欠かさずチェックしてますので、宜しく。
いろいろとお恥ずかしい限りなのですが、自分の考えなどをまとめる意味もあり、ブログに書かせてもらうことにしました。
現在進行形の話なので、今後どうなるかわかりませんがビジネス書で学んだ知識がどこまで有用か現場で実際に試行錯誤しながら確かめてみるつもりです。
本の記事もあるので家業の記事は時間がある週に数回ということになるかと思いますが、お読みいただけるとのことでありがとうございます。励みになります。