2010年01月01日
家業再生4
ホテルの経営を最も圧迫していたのは、やはり借入金の返済です。祖母から受け継いだ土地を担保にお金を借りて、その土地に建物を建てていました。個人事業として不動産事業を行い、同時にホテルの社長業もしていたわけです。自分の土地でホテルの個人経営をする場合にはよくあるパターンです。
その借金の月々の返済原資はその建物のテナントとホテルの賃料でしたが、テナントの賃料は年々低下が続いており、さらにホテルからも十分に賃料が払えない状態になっていました。
4年前の時点で借金の残額は、父の個人事業のものとホテルの分を合わせて2億5千万円近くありました。ちなみに今でも残額が2億円弱あり、返済期間は10年弱残っています。
もともとの借入金は4億円程度あったようですが、今から考えると事業規模に比して借入金が大きすぎると思います。当時の銀行は事業よりも土地の担保価値を重視してお金を貸していたことがよく分かります。
もしも今自分に同じ話があったとしても、キャッシュフローの安定性を考えて絶対にこのような借り入れや事業はしないと思います。
地方の商業地は地価の下落が長年続いているため、バブルの頃にはゆうに借金額の倍くらいあったと思われる土地の価格は、ほぼ借金の残額と同じくらいになってしまっていました。
経営が悪化してしばらく経ってから、父は土地の価格が「元」に戻れば土地を売ることも考えていたようですが、バブルが崩壊してからは地方の商業地の地価は下がる一方であり、土地と建物を売ってもお金がほとんど残りません。心理的にも、そして実際にも売るに売れない状態です。
ホテルの決算書と父個人の決算書や確定申告の書類などを細かいところまで繰り返し読み、おおよその財務的な経営状況を把握しました。
その上で今後の家業のことについて父がどのように考えているのか、そしてどのようにするつもりなのか話し合うべく電話で提案しましたが、父の返答は「商売のことは話したくない」でした。