2010年02月18日
『バブルは別の顔をしてやってくる』
熊野 英生著 2010年2月8日発行 893円(税込)
バブルは別の顔をしてやってくる(日経プレミアシリーズ)
著者:熊野 英生
販売元:日本経済新聞出版社
発売日:2010-02-09
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著者はエコノミストをされている方です。本書はタイトルからはバブルが近い将来にやってくるという予測本のようにも思われますが、実際は世界経済や国際金融の現況について、日本を中心にして書かれている本です。
バブルという言葉が書名に入っていると注目してしまいますが、本書のタイトルはそのあたりを主に考えられてつけられたのかもしれません。本書の目次は以下の通りです。
- 不況はバブルの母である
- バブルは海の向こうからやってくる
- 苦悩する金融当局
- 海外マネーに翻弄される日本の不動産
- 株式からFX取引に向かう個人マネー
- 環境分野にみるバブルの萌芽
- 先行し進む中国バブル
- 新興国バブルと資源インフレ
あとがきに書かれていますが、著者はバブルについてあまりよい印象を持たれていないようです。本文での論調も、バブルがくるかもしれないといったような語り口になっており、どちらかというと警告的なニュアンスが強いと思います。
本書で予測されているバブルは、環境バブルや新興国バブルであり、次にバブルが起きるとしたらそうであろうと少なからぬ人が思っているテーマです。
そのような点においては本書の読みどころはバブルについてというよりも、著者の国際金融についてのエコノミストとしての視点であると思います。
本書は全体的に何となく歯切れがよくない感じがするのですが、その感じは現在の世界経済の状態を反映しているのかもしれません。そのように考えると、本書の記述は現在の状態を素直に捉えていると言えるのかもしれません。
金融について書かれている本は、その著者がマーケットで何らかのポジションを取っている場合、つまりポジショントークの方が読み物としては面白いことが多いのですが現実は混沌としています。
本書ではバブルがテーマになっていますが、その逆に今後さらなる金融危機が来る可能性もあるわけです。そのあたりが現実的に難しいところであると思いますが、いずれにしろ人間の集団心理によって増幅されるという点では同じです。
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この記事へのコメント
1)個人的には、日本の弱点であり、消費者を直撃するリスクを持つ、エネルギーと食料の供給情報を、短期・中期的に注目している。
2)エネルギーについて。天然ガス市場は、米国などのシェール・ガスの利用で、市場価格が下落して、供給国・ロシアが不利(需要国・欧州や日本は有利)と、当面はほぼ安定と見る。
3)食料は、特に小麦が問題であろう。豪州が日本への主要供給国であるが、温暖化の影響で、「旱魃」による不作が続いていて、今後も要注意である。
日本も麦代用米の増産を強化する必要がある。
エネルギーと食糧はたしかに日本にとって大きな問題と思います。世界的に景気が回復すれば、これらの価格は上昇しそうです。天然ガスや小麦についての具体的なことはよく知らないので、見方を参考にさせていただこうと思います。
管理人さん、私は、下記のブログを、時折、ウオッチしています:
1)http://blogs.yahoo.co.jp/yada7215/MYBLOG/yblog.html
石油監査人
2)http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/index.html
農業情報研究所
ブログをご紹介いただきありがとうございます。じっくり目を通させてもらいます。