2010年02月24日
『勉強会に1万円払うなら、上司と3回飲みなさい』
前川 孝雄著 2010年2月20日発行 777円(税込)
勉強会に1万円払うなら、上司と3回飲みなさい (光文社新書)
著者:前川孝雄
販売元:光文社
発売日:2010-02-17
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著者はリクルートが出しているいくつかの雑誌の編集長を過去にされていた方です。職場の人間関係についてもいくつかの本を書かれていますが、本書は20代の若い方をターゲットに、著者の仕事についての考え方がアドバイス的にまとめられています。
本書のタイトルは本書のメッセージを簡潔に伝えていますが、各章のタイトルを読むとさらに詳しく内容がわかると思います。
- 「やりたいこと」なんて他人が決めてもいい
- 仕事とは「来た球を打ち返す」こと
- 大切なのは「こんちくしょう」と「やったらええやん」
- 「仕事がつまらない」のはあなたのせい
- 組織人としての自覚を持つ
本書で著者が言いたいのは、自分の将来や仕事については考えるよりも実際に目の前にあることをやるのが大事であるということです。
人生はいろいろ自分で考えてコントロールしようとしても考えた通りになることはほとんどなく、想像もつかないようなところから新しい展開が開けることが多いためです。
自己啓発的なビジネス書を読み過ぎることについての戒めなどもありますが、本書からは著者が数多くのビジネス書を読まれていることが伝わってくるので、これは実践の重要性を強調するためでしょう。
考えることによって人生をコントロールしようとすることの裏側には、自分でコントロールできるという傲慢さがあるようです。コントロールしすぎようとする人についてやや否定的に書かれているのは、そのあたりのこともあるのかもしれません。
本書では現代の日本の若者に覇気が感じられないことが述べられていますが、若者に覇気が感じられないということは、いつの時代にもその時代時代に社会で活躍している人によって言われがちなことかもしれません。
本書は全体的に「熱い」感じがするのですが、その熱さを言葉を越えたところで受け取ることができると、著者の思いは伝わっていると思います。
本書はビジネス書を数多く読んだり、たくさんの勉強会に参加したりしている人が読むととくにためになると思います。なぜならその意欲を実践という別の形に転化できる可能性があるからです。
著者は実践を伴わない人のことをあまりよく言っていませんが、そのような若者を否定しているのではなく、そのような人のエネルギーをよりよい方向に変化させたいというのがその真意であると思います。