2010年05月21日

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『日本の大問題が面白いほど解ける本』4

高橋 洋一著  2010年月5月18日発行  777円(税込)

日本の大問題が面白いほど解ける本 シンプル・ロジカルに考える (光文社新書)日本の大問題が面白いほど解ける本 シンプル・ロジカルに考える (光文社新書)
著者:高橋 洋一
販売元:光文社
発売日:2010-05-18
おすすめ度:4.0
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高橋洋一氏の新刊です。よく本を出されていることもあり、大まかな主張は今まで書かれていることと同じですが、世界や日本の政治・経済の変化に応じて少しずつアップデートされています。

タイトルとサブタイトルに「日本の大問題が面白いほど解ける」「シンプル・ロジカルに考える」とあります。たしかに本書に書かれていることは、いつも通り明快です。高橋氏の話は以前からシンプルでロジカルですが、問題はなぜ「日本の大問題」は解決されないかです。



高橋氏の本を読んだ後にはある種の知的爽快感のようなものが感じられます。知性によって日本をよい状態に導けるかもしれないという期待も抱かせます。しかしながら、政策は高橋氏が言われるようには行われません。

高橋氏によると、スムーズにいかないのは官僚が既得権益を守って抵抗しているからということになります。そしてこの主張はそれなりに真実を含んでいるのでしょう。

結局のところ、高橋氏の言論では官僚を口説けないわけです。官僚を「口説く」と書きましたが、官僚は本来の存在意義からして本質的に女性的なものなので「口説く」という言葉には男女関係的な意味を含ませています。

女性を口説くにはどうすればよいでしょうか?

おそらく「シンプル・ロジカル」に口説いてもうまくいかないことでしょう。なぜなら女性が求めていることはシンプルさやロジックではないからです。

女性が求めているのは、まずはなによりも自分の身の安全、そして安心感です。そして自分を受け入れてもらうことです。そのような状況が男性によって保障されれば、女性は男性に尽くしてくれることでしょう。そのあたりの事情をよくわかっていたのは田中角栄氏です。

男性から責められて不安になっている女性に対して、「自分の身を守ろうとしているのはよくない」と言って批判しても、女性は心を閉ざしてしまうだけです。心を閉ざしている女性にいくらロジカルな正しさの面から口説いても女性は落ちないことでしょう。

とかく悪く言われがちな日本の官僚については、もちろん問題がないわけはないでしょうが、諸外国と比べて能力的にも志の点でも劣っているわけではなく、むしろ非常に優秀なのではないかと個人的には思っています。優れたパートナーが現れればうまく尽くしてくれるはずです。

以前から書いていますが、日本が将来よい状態に向かうかどうかは日本に欠けている男性性を補うことができるかどうかによると思います。一番よいのは国民一人一人が内なる男性性を育てることですが、それには時間がかかります。

やはり短期的・中期的には、本質的な意味において男性的な指導者が現れるかどうかにかかっていると思います。高橋氏の書いたものを読むと、いつもそのような思いが頭をよぎります。



investmentbooks at 23:58│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--日本経済 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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