本--経済学
2009年12月24日
2009年12月22日
『プレゼントの経済学―なぜ、あげた額よりもらう額は少なく感じるのか?』
ジョエル・ウォルドフォーゲル著 矢羽野 薫訳
2009年11月24日発行 1500円(税込)
プレゼントの経済学―なぜ、あげた額よりもらう額は少なく感じるのか?
著者:ジョエル・ウォルドフォーゲル
販売元:プレジデント社
発売日:2009-11-12
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日本語のタイトルにはプレゼントとありますが、本書におけるプレゼントはクリスマスプレゼントのことです。原書のタイトルにはそのニュアンスがありますが、日本語ではプレゼントの意味が一般化されています。
また本書のタイトルからは行動経済学的な内容を想像してしまいますが、実際は統計データなどに基づいた分析が多く関係しています。本書の目次は以下の通りです。
続きを読む2009年10月26日
『脱線FRB』
ジョン・B・テイラー著 村井 章子訳
2009年10月26日発行 1890円(税込)
脱線FRB
著者:ジョン・B・テイラー
販売元:日経BP社
発売日:2009-10-22
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著者は世界的に著名な経済学者で、金融政策運営の指針となるテイラー・ルールを提唱されている方です。テイラー・ルール自体は昔からありましたが、本書では今回の金融危機の原因をテイラー・ルールからのズレで説明しています。
本書は、金融政策について専門的な内容ですが、図が多用されており、論旨が明快です。また竹森俊平氏の解説も付いています。その建設的な批判によって全体のバランスがよく取れていると思います。本書の目次は以下の通りです。
続きを読む2009年09月30日
2009年08月21日
『シルビオ・ゲゼル入門―減価する貨幣とは何か』
廣田 裕之著 2009年6月25日発行 1890円(税込)
シルビオ・ゲゼル入門―減価する貨幣とは何か
著者:廣田 裕之
販売元:アルテ
発売日:2009-06
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本書のタイトルになっているシルビオ・ゲゼルは1862年生まれなので、100年くらい前の人になります。実業で成功した後、経済学の研究を独自で行い、サブタイトルにあるような「減価する貨幣」などいくつかの考え方を提唱された方です。
お金についての本は、ほとんどがHowの視点で書かれていますが、貨幣自体のあり方についてさかのぼった視点で書かれている本はあまりありません。本書はそのあまりない本のうちの一冊になります。
続きを読む2009年08月06日
『資本主義のコスト』
ロバート・J・バーバラ著 菊池 正俊訳
2009年8月7日発行 1995円(税込)
資本主義のコスト
著者:ロバート・J・バーバラ
販売元:洋泉社
発売日:2009-07-23
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原著者は25年以上にわたりエコノミストをされていた方です。訳者は外国人投資家についての良書を一般向けに何冊か書かれており、本ブログでも過去に何冊か紹介しています。本書は翻訳者の名前で購入した面もあります。
本書のテーマは最近の金融危機を中心に、今までの金融危機について、ハイマン・ミンスキーの資本主義金融の理論について解説されている本です。と書くと難しそうに感じますが、バブルの過程を説明してると考えると興味が湧きやすいと思います。
続きを読む2009年07月02日
『アニマルスピリット』
ジョージ・A・アカロフ/ロバート・J・シラー著 山形 浩生訳
2009年6月11日発行 2310円(税込)
アニマルスピリット
著者:ジョージ・A・アカロフ/ロバート・J・シラー
販売元:東洋経済新報社
発売日:2009-05-29
おすすめ度:
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本書の共著者の一人は『投機バブル 根拠なき熱狂―アメリカ株式市場、暴落の必然』の著者です。この本はかなり前の本ですが、現在でも株式市場について理解する上で有用な本であると思います。アメリカの重要な住宅価格の指標であるケース・シラー住宅価格指数にその名前があります。
本書のタイトルの「アニマルスピリット」という言葉はケインズの言葉です。「血気」とも訳されるようですが、経済活動に影響を与える人間の合理的でない部分のことのようです。
続きを読む2009年05月07日
『恐慌の黙示録―資本主義は生き残ることができるのか』
中野 剛志著 2009年4月23日発行 1680円(税込)
恐慌の黙示録―資本主義は生き残ることができるのか
著者:中野 剛志
販売元:東洋経済新報社
発売日:2009-04
おすすめ度:
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著者は経済産業省に勤務されている方です。本書は、今回の金融危機をきっかけに世界的に反省されている資本主義のあり方について、ミンスキー、ヴェブレン、ヒルファーディング、ケインズ、シュンペーターの資本主義についての考察を振り返りながら、著者の考えがまとめられている本です。
著者のバックグラウンドが政治思想にあるためか、本書は思想的、哲学的な考察も豊富で、一般的な経済書を越えた深みがあると思います。
続きを読む2009年04月26日
『経済を動かす単純な論理』
櫻川 昌哉著 2009年4月30日発行 1470円(税込)
経済を動かす単純な論理
著者:櫻川昌哉
販売元:光文社
発売日:2009-04-24
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著者は大学教授で、本書は経済学部での講義ノートをもとにされているようです。と書くと難しい内容を想像してしまいますが、タイトルに「単純な論理」とあるように、本書はシンプルな語り口です。
本書で扱われているテーマも、以下の目次にあるように、タイムリーな話題を採りあげながらも、一般性のある内容になっていると思います。
続きを読む2009年04月23日
『ゲイツとバフェット 新しい資本主義を語る』
マイケル・キンズレー編 和泉 裕子・山田 美明訳
2009年4月30日発行 1785円(税込)
ゲイツとバフェット 新しい資本主義を語る
著者:マイケル・キンズレー
販売元:徳間書店
発売日:2009-04-17
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本書の内容はタイトルから受ける印象とは少々異なります。本書の基調となる2008年のダヴォス会議でのビル・ゲイツのスピーチが20ページ、その後のゲイツとバフェットの対談が30ページです。
その後の250ページは、ゲイツのスピーチで提唱された「創造的資本主義」について、経済学者、ジャーナリスト、政治家など各方面の錚々たる顔ぶれがネット上で交わした議論となっています。本書のメインはこの部分なので、タイトルから受ける印象とはやや異なるわけです。
続きを読む2009年01月25日
『世界は感情で動く』
マッテオ・モッテルリーニ著 泉 典子訳
2009年1月30日発行 1680円(税込)
世界は感情で動く (行動経済学からみる脳のトラップ)
著者:マッテオ・モッテルリーニ
販売元:紀伊國屋書店
発売日:2009-01-21
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タイトルと装丁から分かる方もいらっしゃると思いますが、本書はベストセラーとなった以下の本と同じ著者によるものです。
本書の原書版は昨年度に出版されており、前著がよく売れているためか、すぐに翻訳出版されたようです。日本のことを意識されている話がわずかですが出てくることから、本書は日本語に訳されることを念頭に書かれたことが想像できます。
続きを読む2009年01月09日
『出社が楽しい経済学』
吉本 佳生/NHK「出社が楽しい経済学」制作班著
2009年1月10日発行 1260円(税込)
出社が楽しい経済学
販売元:日本放送出版協会
発売日:2009-01
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まだ書影がないようです。本書は、明日1月10日からの23:00〜23:29の時間で毎週土曜日に全12回に渡って放映される経済学教育番組『出社が楽しい経済学』に基づいて書かれた本です。なんとか番組の開始まで出版が間に合ったという印象を受けます。
番組はNHKの制作班と『スタバではグランデを買え! 』の吉本佳生氏によって作られています。啓蒙的な番組なので、普段から経済学の考え方に興味を持ってある程度の本を読まれている方には、本書と番組の内容は物足りないかもしれませんが、経済学的な考え方がどのように番組で表現されているかは興味があるところです。
続きを読む2009年01月08日
『経済学はこう考える』
根井 雅弘著 2009年1月10日発行 714円(税込)
経済学はこう考える (ちくまプリマー新書 100)
著者:根井 雅弘
販売元:筑摩書房
発売日:2009-01
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中高生向けのシリーズである、ちくまプリマー新書の新刊です。著者の御専門は現代経済思想史ということで、本書も経済史的な観点から、ケインズを軸にして経済学の考え方について説明されています。
中高生向けということで、簡明には書かれていますが、必ずしも簡単な本ではなく、経済学を専門に勉強していなければ、一般の大人でも読みごたえのある本です。
続きを読む2008年12月27日
『散歩でわかる経済学』
跡田 直澄著 2008年12月26日発行 777円(税込)
散歩でわかる経済学 (ヴィレッジブックス新書)
著者:跡田 直澄
販売元:ヴィレッジブックス
発売日:2008-12-26
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著者は大学教授、タイトルには「経済学」とついていますが、本書は随筆を読むように肩肘張らずに読める本です。「散歩」のゆるりとしたイメージが文体や内容に反映されています。
著者はさまざまな場所を散歩されていますが、具体的にどのような場所を散策されたかは、以下の章のタイトルからわかります。
続きを読む2008年12月23日
『あなたはなぜ値札にダマされるのか?』
オリ・ブラフマン/ロム・ブラフマン著 高橋 則明訳
2008年12月20日発行 1575円(税込)
あなたはなぜ値札にダマされるのか?―不合理な意思決定にひそむスウェイの法則
著者:オリ ブラフマン
販売元:日本放送出版協会
発売日:2008-12
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原著者はご兄弟のようで、それぞれ「起業家」「心理学博士」と著者紹介にあります。本書は、人間の価値判断や意思決定における不合理性について、かなりテーマを絞った形で書かれている本です。
本書の原著書はベストセラーになったそうです。この種の本としてはやさしく、啓蒙書として読まれることをかなり意識されて書かれているように思われます。
続きを読む2008年12月02日
『人は意外に合理的』
ティム・ハーフォード著 遠藤 真美訳
2008年11月19日発行 1890円(税込)
人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く
著者:ティム ハーフォード
販売元:ランダムハウス講談社
発売日:2008-11-20
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著者はファイナンシャル・タイムズの編集委員をされている方で、過去にも経済学の啓蒙書として『まっとうな経済学』を書かれています。本書の原書のタイトルは『The Logic of Life』(生活の論理)で、日常生活における諸現象の仕組みを経済学的に説明しています。
本書の和訳のタイトルは、少し前に紹介した『予想どおりに不合理』を思い起こさせます。先日の本は人間の経済活動における不合理性に着目した行動経済学的な内容でしたが、本書は人間の日常生活に潜む合理性に焦点が当てられています。
続きを読む2008年11月23日
『予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』
ダン・アリエリー著 熊谷 淳子訳
2008年11月25日発行 1890円(税込)
予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
著者は行動経済学の研究者の方です。本書では、自らの多彩な研究に基づいて、ヒトの判断や意志決定における不合理性について述べられています。
本書の内容は学術的な論文がもとになっており、具体的に実験の手法などについても解説されていますが、著者が平易に書くように努められたこと、そしてわかりやすい翻訳により、すぐれた読み物にもなっています。
続きを読む2008年11月12日
『物価迷走 ――インフレーションとは何か』
原田 泰/神田 慶司著 2008年11月10日発行 740円(税込)
物価迷走 ――インフレーションとは何か (角川oneテーマ21 A 90)
とかく最近話題になりやすい物価ですが、本書はサブタイトルにある通りインフレがテーマです。しばらく前にデフレからインフレへの転換について話題になっていましたが、現在では話題の勢いがなくなっているようです。
本書では、物価とインフレについて基本的なことから、時事的な要素も織り込んで解説されています。序章が「物価が上がるとどうなるのか」から始りますが、以後の各章のタイトルは全体の内容を簡潔に表しています。
続きを読む2008年11月05日
『フェラーリ経済学―半年後の景気を先読みするフェラーリ的分析術』
村上 篤良著 2008年11月5日発行 1365円(税込)
フェラーリ経済学―半年後の景気を先読みするフェラーリ的分析術
タイトルに経済「学」とありますが、平易に書かれているため気軽に読める本です。著者の本は以前に『Dr.村上の「儲け」のネタ帳』という本を紹介したことがあります。
本書は、フェラーリを通じて景気や日本経済を読み解く内容が興味深いので、フェラーリ自体に興味がない方でも面白く読めると思います。
続きを読む2008年09月21日
『資本主義は嫌いですか』
竹森 俊平著 2008年9月8日発行 1890円(税込)
著者の本はおよそ1年前に『1997年――世界を変えた金融危機』を本ブログで紹介しています。前著は「ナイトの不確実性」を軸に金融危機について解説されているタイムリーな良書でした。
本書も同様にタイムリーな内容で、「サブプライム問題危機をテーマにした「物語の三部作」という形」で以下のような三部構成となっています。
続きを読む2008年08月20日
2008年08月17日
『容疑者ケインズ』
小島 寛之著 2008年8月17日発行 1200円(税込)
容疑者ケインズ―不況、バブル、格差。すべてはこの男のアタマの中にある。 (ピンポイント選書)
著者はもともとは数学畑の方ですが、現在は数理経済学や意思決定理論を御専門にされている方です。新書で経済や数学のやや数理的な啓蒙書をいくつか書かれています。
あとがきによると、著者が経済学の道に転身されたのは、ケインズ理論との出会いがきっかけになっていると書かれており、本書の内容は著者にとって思い入れのあるもののようです。
続きを読む2008年08月13日
『すべての経済はバブルに通じる』
小幡 績著 2008年8月15日発行 798円(税込)
著者は大学の教官をされていますが、個人投資家としても積極的にマーケットに関わっておられる方です。著者のマーケットとの日々の関わりは、ブログ『小幡績PhDの行動ファイナンス投資日記』で読むことができます。
本書では、証券化や著者オリジナルのバブルについての理論の解説と、ここ1〜2年の世界のマーケットの動きについてバブルの生成と崩壊の視点から時間を追った説明があります。
続きを読む2008年07月12日
『閉塞経済―金融資本主義のゆくえ』
金子 勝著 2008年7月10日発行 714円(税込)
経済学者金子勝氏の新刊です。ここ数年の日本経済におけるキーワードだった、「規制緩和」「構造改革」「市場原理」などの有効性について見直しを促す内容です。
著者の主張は昔から変わっていないのですが、サブプライム問題によるアメリカ経済の停滞とともに、上記の諸概念に対する過剰な期待が減少しつつあるため、本書の内容は時代的に受けいられやすくなっているかもしれません。
続きを読む2008年05月23日
『理系サラリーマン 専門家11人に「経済学」を聞く!』
平林 純著 2008年5月30日発行 1000円(税込)
理系サラリーマン 専門家11人に「経済学」を聞く! (Kobunsha Paperbacks Business 17)
著者は理系エンジニアの方です。本書は経済学の「素人」の視点で、旬な経済学者11人に著者がインタビューしています。インタビューとインタビューの間に、インターネットを通じてのアンケートやコラムがあり、最後にはブックガイドがあります。
本書でインタビューされている経済学者の方は、一般向けの啓蒙書を書かれている方が多いのですが、書店の啓蒙書の著者からインタビューする方が選ばれたからのようです。インタビューのテーマとされる方は以下の通りです。
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