2007年01月24日
『「心のブレーキ」の外し方~仕事とプライベートに効く7つの心理セラピー』
石井 裕之著 2006年11月21日発行 1300円(税抜き)
「心のブレーキ」の外し方〜仕事とプライベートに効く7つの心理セラピー〜
ベストセラー『なぜ、占い師は信用されるのか? 「コールドリーディング」のすべて』で有名な石井裕之さんの最新作です。潜在意識について、その性質や活用法などが書かれています。
職業柄このような内容の本にはだいたい目を通すことにしていますが、本書はいろいろな点でよくできた本です。『なぜ、占い師は・・・』より売れるかもしれません。
とりたてて新しい内容はないのですが、文章がわかりやすく、身近な話題をもとに書かれているので、受けいられやすい本であると思います。
潜在意識については、さまざまな本が書かれていますが、基本的にはあるかないかを議論するよりも、とりあえずあることを前提にして活用することが賢明かもしれません。存在を前提として生きることにより、その結果で間接的にその存在がわかるといった感じでしょうか。そのような意味では、潜在意識は、他者のこころに似ています。あることはわかってるけど、あるかないか示してくれといわれても、ちょっと困ってしまうような。
他者のこころはあることが当たりまえで、いまさらその存在を示してくれといわれても困りますよね。潜在意識を十分に活用できて、その存在が当たり前の人にとっても潜在意識の自明性は同じようなことかもしれません。でも、もうひとひねりすると、他者のこころが存在するかどうかという議論はあるのですが。
そのような観点からすると、潜在意識というのは、ちょっと宗教の教義に似ているかもしれませんね。宗教も、実践することによって信仰を深めていく過程があります。潜在意識を意図するにせよしないにせよ利用しているのかもしれません。
本書を読んで、ちょっとオカルト的だと思う方もいると思います。それはやはり潜在意識そのものの存在を明示的には証明できないからです。著者の考えを借りると、潜在意識の存在を認めないという状態を、潜在意識が維持したいからということになると思います。
本書自体も、潜在意識に働きかけるさまざまな売れるため、読者を満足させるための工夫が凝らされています。本書の内容は多くの人を幸せにするものであると著者が心から思っているので、そのようなテクニックを多用されていると思いますが、潜在意識が抵抗する方には否定的な評価を受ける可能性もあります。


