2007年01月28日
『お客には絶対に謝るな!』
長野 慶太著 2007年1月30日発行 952円(税抜き)
お客には絶対に謝るな! Never Say “Sumimasen” to Your Clients!
本書は光文社ペーパーバックスBusinessの記念すべき第1冊目の本です。光文社ペーパーバックスは数年前に刊行されましたが、多くのベストセラーを生み出し、他社も次々とペーパーバックスに参入している状態となっています。
文章は表現される媒体が新しく出現することにより、いままでは表現できなかった内容が表現できるようになったりします。例えば、2ちゃんねるで表現される内容は、大げさに言うと、いままでに人類が言語化してこなかったようなものが含まれています。また、表現されるべき媒体の出現のため、こころに浮かぶ内容も今までになかったものが出てきているかもしれません。
数年前に光文社ペーパーバックスが出版されることにより、いままで表現されることのなかった、単行本や新書として出版するほどではないけれども、週刊誌などに書くには長い内容のものが日の目を見るようになりました。ペーパーバックスにはそのような意義があったようで、最近では一つの媒体として完全に受けいられていると思います。
さて本書ですが、著者は日本の銀行に約10年勤務の後、ラスベガスの法律事務所に勤務、その後独立されています。
タイトルはセンセーショナルです。最近はとくに営業系の本にこのような逆説的なタイトルが目立ちますね。タイトルのみならず、章ごとのタイトルも、「売る熱意などまったくいらない」、「お客様とはメシも食わない 酒も飲まない」、「値段なんか下げない」などと、伝統的な営業の鉄則に対してことごとくchallengingなフレーズのオンパレードとなっています。
最近は、営業も卑屈にならず対等に接するという内容の本が多く出版されていますが、本書は徹底しています。また、本書の特徴の一つとして、NLPにも言及されており、いままでの一般的な営業の潜在意識に対する否定的な影響を挙げているということがあります。
本書のような営業の方法は今後一般的に広まっていくと思います。いままでは、日本ではどちらかというと、同業内での商品については横並びが強い傾向にありました。近年は、各企業とも、商品自体にオリジナリティを持たせて差別化をはかり、商品そのものの価値で販売するという戦略になっている(というかそうしないと生き残れない)ように思います。
そのような場合には、営業は今までのように「買っていただく」のではなく、対等な立場から、商品そのものの価値をアピールする方法に変わってきているのかもしれません。営業の方法が変わりつつあるのは、時代の流れの大きな変化が背後にあるように思われます。
その際、根本的に重要なのは売る商品そのものの価値です。今後最も重要なのは売る商品自体のオリジナルな価値です。本書にあるのは対等な営業ですが、今後はさらに、「売ってあげる」営業になっていくのかもしれません。