2007年02月16日
『中国ビジネス開花記』
ジェームズ・マクレガー著 三沢 洋訳
2007年1月26日発行 1900円(税抜き)
オープンナレッジという聞いたことのない出版社の本です。大きな書店に行かないと手に入らない本かもしれません。私は池袋にあるリブロで購入しました。465ページありボリューム満点です。
著者は、ウォールストリート・ジャーナルの台湾支局に勤務後、1990年から北京支局長、その後ダウ・ジョーンズの中国駐在代表となられており、欧米の経済ジャーナリストの立場から、現地で中国経済の報道にどっぷりと浸っていた方です。
本書は中国でビジネスをする際にどのような点に注意するべきかということが、実際の企業の進出例を題材にして、具体的に欧米人向けに書かれている本です。各章の終わりにその章から得られた中国での注意点が「毛語録ビジネス版」となってまとめられており、この短いまとめを読むだけでも参考になります。
例えば、1990年代に中国でモルガン・スタンレーが中国建設銀行と合弁投資会社を立ち上げたときに、いかに苦労したかが1章をさかれて書かれています。エピソードのなかで、本ブログで数日前に紹介したバートン・ビッグスがたまたま登場していて興味深く読めました。
さまざまな具体例を読んでいると、欧米人も中国でのビジネスには苦労しているようです。日本人は中国に対して過去に行ったことから、自分の国だけが中国に被害妄想的になられていると思ってしまいがちですが、中国が被害妄想的になっているのは日本だけではないということがわかります。中国は外国全般に対して被害妄想的な傾向があるようです。
本書では中国の過去に植民地化された歴史についても述べられており、そのことと、中国が持っているもともとのプライドの強さが組み合わさって、外国に対してアレルギー的になっているのではないかということでした。外資が進出することに対して、経済的に侵略されるのではないかと被害的になることは、大なり小なりどこの国でもあるとは思います。日本でもありますね。
本書はアメリカ人から見た中国について書かれているため、中国について別の国からの視点を理解することができます。アメリカからの視点なので、やはり偏りはあります。しかしながら、国と国との関係は個別的なものなので客観的な視点というものはないのかもしれません。人と人との関係と似ていますね。
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この記事へのコメント
1900円でこの内容、ボリュームは良いです。
中国の野心はすごいものがあるな〜と寒心いたしました。
日本でも、中国を揶揄するばかりの本ではない、このような書籍が多く読まれるようになれば良いと思います。
書かれているとおり、本書は中国を理解する上でとてもよい本です。惜しいのはややマイナーな出版社から出ている点です。
そのため、一般的には今のところあまり売れていないようです。読んでいる方はしっかりと読んでいると思いました。