2007年11月26日
『サブプライム問題とは何か』
春山 昇華著 2007年11月24日発行 735円(税込)
サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉 [宝島社新書] (宝島社新書 254)
このブログを書いている時点では、アマゾンで売り切れになっており、もともと735円の本書に、何と1780円〜5000円の価格がつけられています。
高価格の理由としては
- 供給:本書は宝島社新書から出ていますが、新書のシリーズとしては比較的マイナーです。おそらく初版の発行部数が少ないと想像されます。また、アマゾンで検索したところ、このブログを書いている時点では、タイトル「サブプライム」という言葉が含まれているのは本書だけです。
- 需要:ここ数ヶ月は世界経済や金融関係の記事などで「サブプライム」という言葉を耳にしない日はありません。一般的には知らない人も多いようですが、投資などを通じて金融に関心のある人は、このテーマに興味を持っている人が多いと思われます。
- アマゾンにおける高評価:このブログを書いている時点で6つのレビューがありますが、すべて五つ星の高評価。レビューの自体も質が高く参考になった人の割合が多い状態です。
- 本のテーマ:金融関連の本なので、お金との関係が深く、資産運用などに関心があってお金に余裕のある人が潜在的読者として存在してると考えられます。購買力があるため価格が高くなりやすいかもしれません。
などがあると思います。出版社の人も想像しているよりも反響があることに驚き、急いで増刷されているのではないでしょうか。
ちなみに自分は、本屋が数多く集まっているところにたまたま行く機会があったので、昨日入手できました。数日前から何件かの書店を回っていたのですが、それらの書店ではすべて品切れでした。
神保町でも最初の数件では売り切れていましたが、いろいろと考えて、その書店の新書コーナーがどこにあるかすぐには思い浮かばない書店にあるのではないかと思って行ったところ、1冊だけ置いていました。
本書はおそらくすぐに増刷されて市中に出回るでしょうし、アマゾン以外のネット書店で探せば見つかることでしょう
前置きが長くなってしまいました。。
著者は投資関係の仕事を長年されている方であり、本書が初めての著書のようです。
本書の内容としては、サブプライム問題の本質は、アメリカの住宅バブルが証券化によって世界中の金融機関やヘッジファンドにばらまかれたものとしています。平易な文体で書かれた200ページ程度の本であり、字も大きく図表も多用されていて、サブプライム問題の本質が数時間でわかるようになっています。
サブプライムの最悪のシナリオとしては、信用収縮→景気の悪化→さらなる信用収縮→さらなる景気の悪化→・・・という負のスパイラルですが、現在各国の中央銀行が資金を供給し続けています。
日本でも過去に不動産のバブルがあり、その影響からの回復に15年程度かかっています。今回のアメリカの場合はどうでしょうか。本書ではアメリカの住宅バブルとしていますが、まだバブルではないと主張される方もいます。
日本の場合は不良債権の処理が遅々としていたため、負のスパイラルに陥ってしまいましたが、今回のサブプライム問題の場合はもっと処理が速くなるのではないかと思います。
アメリカの消費の低下はしばらくは続きそうですが、どの程度の影響を世界経済の発展や株式市場に与えるかは、引き続き注意する必要がありそうです。
個人的にはサブプライムの損失は評価損なので、証券を保有している機関が速やかに損失を確定して不透明感を無くし、マネーの流れが途絶えなければ、過去の日本のようには長期化しないとは考えているのですが・・・。
心配なのは、今回のサブプライム問題の反動で証券化に対する規制が過剰になり、金融商品全般の流動性が低下することです。