2008年01月03日
『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』
小宮 一慶著 2007年9月15日発行 1050円(税込)
著者は経営コンサルタントで、本書はビジネスをテーマにした「ものの見方」についての本です。
最初の章に「見える力の大原則」がまとめられています。以下の部分が、本書で最も重要なポイントであり、著者が最も伝えたいところであると思われます。
- 気にしていると、ものは見える
- 思い込みがあると、ものは見えない
- 人は、自分に必要なことだけを選んで見ている
- 人は、本当に必要なことを見ていないことも多い
この大原則の具体例と「見える力を養う方法」が残りの章で述べられています。
さらにまとめると、最も重要なポイントは、人は自分が見えていないものがあるということを自覚するということです。ソクラテスが言うところの無知の知です。まずは自分が見えていないものがあるということを自覚しないと、スタート地点に立てません。
しかしながら、この部分が最も難しいところです。なぜならば、謙虚さと素直さを伴った自己洞察が必要だからです。また、始めのうちは謙虚さがある場合でも、経験を重ねるにつれて謙虚さがなくなることも落とし穴になります。自分は物事がよく分かっていると思い始めたら要注意です。
投資やビジネスにおいて、多くの人が見えていないものを見ることができる能力は重要です。利益の源泉は、多くの人が見えていないにもかかわらず実は価値があることを発見するところにあります。
良質なビジネス書は、本書のようにものの見方を違った角度から見せてくれて、物事に対する認識を深めてくれる働きがあります。そのように考えると、ビジネスや投資においては、一般的なビジネス書のみならず新しい視点を与えてくれる本はすべて役に立つということにもなります。
読書の楽しみの一つに、本を読むことにより今まで見えなかったことに気付くということがあります。本を読む場合には、自分の専門分野の本を読むのは必要ですが、全く興味がない分野の本、自分と反対の考え方が書かれている本を読むことも欠かせません。
これは人と会う場合やどこかを訪れるときにも当てはまります。ただし、自分の心が開かれていなければ、認識を深めるヒントは素通りしてしまいます。
ユーミンの歌ではありませんが、心さえ開けば、本、人、場所などのみならず、「目に映るすべてのことはメッセージ」です。本書には多くの例が述べられています。