2008年01月16日
『ハンバーガーの教訓』
原田 泳幸著 2008年1月10日発行 720円(税込)
ハンバーガーの教訓―消費者の欲求を考える意味 (角川oneテーマ21 C 142)
日本マクドナルドホールディングス会長兼社長兼CEOである原田泳幸氏による本です。マック(アップルコンピューター)からマック(マクドナルド)への転身ということでも話題になりました。
本書は、自身マクドナルドの経験に基づいた経営論がテーマですが、キャリアやビジネス一般についても、ご自分の経験を通して語られており、勉強になります。
著者がマックのCEOに就任されたのは2004年ですが、その頃から比べるとマックの業績はアップしました。売上高は3000億円から4000億円へと、約1000億円もアップしています。
店舗の改装も進み、以前よりも居心地がよくなっています。昔は長居をする気になりませんでしたが、最近はゆったりとした雰囲気で本を読める店舗もあります。照明の感じもいいですね。新しいメニューも次々とヒットしており、商品名もマーケティング的なセンスのよさを感じます。多くの店舗が24時間営業になり、新たな店舗形態であるマックカフェもできました。
また、地域ごとに異なった価格をつけるという戦略も注目されます。実質的には値上げだと思うのですが、うまく考えられた戦略です。これら以外にも、著者がマックで改革されたことについて、現場の様子や根本にある考え方も述べられており、大変参考になります。
著者の経営センスのよさは本書から読み取れるのですが、数字についてもしっかり計算されているようです。ただし、あくまで現場での雰囲気を重視されており、数字は二次的なものとされています。
本書を読んだ後に、マックの株価情報とホームページのIR情報を軽く見てみました。
日本マクドナルドホールディングスの今日の時価総額はおよそ2300億円です。最近はマーケット全体が不調なこともあり、1ヶ月くらいで1〜2割下げています。
全国のマックの店舗数は3800店だそうです。日本の外食業界では、店舗数・売上高とも一位です。時価総額を店舗数で割ると、およそ6000万です。マックの店舗は規模は様々ですが、平均的な店舗の一つは6000万で買えるということですね。
1年の売上げが4000億なので、これを店舗数で割ると1億ちょっとです。6000万で1店舗買うと1億売り上げてくれます。では利益はどうでしょうか?
昨年の12月に上方修正が出ています。その後、本書の前書きにも書かれているように、調理日時の問題が先日ありました。そのため、上方修正通りの利益が出るかどうかはわかりませんが、その時の数値では、純利益の予想値は77億円です。店舗数で割ると、一店舗あたり約200万円です。
1店舗買うのに6000万、純利益が1年に200万なので、およそ3%ちょっとの利回りです。利回りとしてはまだまだですが、以前が赤字経営だったことを考えるとかなり改善しています。現在は再生中ですが、中期的な目標は売上高6000億くらいなのではないかと思います。
外食業界の利益率から考えて、6000億の売上げがあると、5%300億円の純利益は十分に可能でしょう。そうなると現在6000万円で1店舗買ったとすると、株主の取り分である純利益はその時には800万程度、購入時の株価で計算するとPERは7〜8倍程度となり、かなり割安です。
その頃には、業績の改善のトレンドとブランド力が再評価され、少なくともPER20〜25程度では売買されていることでしょう。株価では現在の3倍程度ということになります。本日の株価は1700円ちょっとなので、5000円くらいにはなっているでしょうか。
あくまで再生が極めて順調に進んだときの数値ですが、本書を読むと、5年で株価3倍程度の潜在的な可能性はあるのではないかと思わせてくれます。もちろん可能性としては、再生がうまくいかないということも考えられます。
将来については何とも言えませんが、本書を読むと著者の経営でマックの業績の改善が継続するのではないかと期待を抱かせてくれる本です。実際の投資の意志決定においては、さらなる定量的な分析が必要ではありますが。


