2008年01月27日
『あなたに金持ちになってほしい』
ドナルド トランプ/ロバート キヨサキ他著
白根 美保子/井上 純子訳
2008年1月25日発行 2310円(税込)
ロバート・キヨサキ氏の「金持ち父さんシリーズ」の新刊です。このシリーズは新刊が出ても、内容の多くはそれまでのシリーズで書かれたものと重なっています。本書も真新しさはないのですが、アメリカの「不動産王」であるドナルド・トランプ氏との共著であることが新たな売りになっています。
ドナルド・トランプ氏はテレビに出演していることもあり、アメリカではかなり有名な方です。日本での知名度はロバート・キヨサキ氏と比べると今ひとつですが、何冊か翻訳された本も出ています。
本の構成としては、キヨサキ氏、トランプ氏がこの順に特定のテーマについて章ごとに書くという内容になっています。
アメリカ社会における問題点について、ロバート氏が以下のように書いています。
- ドルの価値が下落している
- 国の借金が増大している
- ベビーブーム世代が定年の時期を迎える
- 石油の価格が上昇している
- 金持ちとそれ以外の人々の格差が拡大している
- 賃金が下がっている
- 雇用が海外に流出している
- 社会保障とメディケアが破綻しつつある
- 人々の貯蓄が価値を失っている
- ファイナンシャル教育が行われていない
ほとんどが日本における問題と重なっています。日本では、これらの問題に加えて、社会が少子高齢化していることが加わります。石油の価格上昇については、アメリカほど直接的な影響はないかもしれませんが、間接的に今後インフレ傾向にはなるでしょう。
これらの方法の解決方法について提案されていますが、あくまで自分にとっての解決法です。具体的な方法としては、不動産投資、ネットワークビジネス、自分でビジネスを始めることが挙げられています。
本シリーズの役割としては、投資や起業の世界があることを知らない人に、それらの世界が存在し、そこに自分も参加できるということを伝えること、さらに参加する際の心理的障壁を取り除くことにあります。
自分の人生のリスクを大きくすることにより、リターンも大きくするということです。レバレッジを掛けるということが繰り返し出てくることからもわかります。しかしながら、実は本書を読んでから成功するまでには長い道のりがあります。
アメリカでは本シリーズを読んで不動産投資を始めた人もいると思いますが、最近のアメリカの不動産市場の下落で打撃を受けている人もいることでしょう。キヨサキ氏はキャピタルゲインではなく、インカムゲイン目的での投資を勧めているのですが、人は本の内容を都合のいいように解釈しがちです。
本書は、人生の諸問題について論じられていたり、アドバイスの章もあったりと豊富な内容になっています。ドナルド・トランプ氏がどのように書いているかということに興味があれば、より楽しめる内容になっています。