2008年03月05日
『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』
小宮 一慶著 2008年3月1日発行 1050円(税込)
このブログで著者の著書を紹介させていただくのは、本書で4冊目、今年に入ってから3冊目となります。ハイペースで良書を書かれているので、どうしても紹介する回数が多くなってしまいます。
本書は以下の前作と同様、同じディスカヴァー携書の一冊として出版されています。ビジネスの数字に絞って書かれており、前作で読み足りない思いがしたところを補完する内容です。
本書は数字を通してビジネスの見方を広げて深める本ですが、ビジネスを超えてものの見方そのものを変える働きもあります。各章のタイトルは以下の通りです。
- 「数字力」で世の中の見え方が変わる!
- 数字の見方 七つの基本
- 数字力を阻害する六つの罠
- 数字力が高まる五つの習慣
最後に付録として、「これだけ知っていれば、世界が見える!会社が見える!最強ビジネスマン必須マクロとミクロの数字20!」があります。
最初に「次の数字を知っていますか?」という著者の問いかけがあります。その一部を書いてみます。
- 日本の労働人口
- 日本の平均給与額
- コンビニの一人一回当たりの平均買い物額
- 年間の書籍の売上高
- あなたが年間に払っている所得税と住民税の総額
本ブログと関係の深い問いは書籍の売上高ですが、本書にある答えを書いておきます。
日本の年間書籍売上高は推定9026億円となっています。日本の人口はおよそ1億3千万弱なので、日本人一人当たり年間7000円ほど本を買っているということになりますね。ただし本書にもあるように、平均は意味に乏しい場合があり、実際に統計を取ると、分布はロングテールのような形になっていることでしょう。
すべての章が勉強になるのですが、とくに重要なのは第4章の「数字力が高まる五つの習慣」です。なぜなら、これらの習慣を身につければ、あとは自動的に数字力が高まるからです。その五つの習慣は以下の通りです。
- おもな数字を覚える
- 定点観測をする
- 部分から全体を推測する
- 数字を関連づけながら読む
- 常に数字で考える
会計的なことも含めて、数字で考えることができるのはビジネスにおいて必須のスキルです。もともと数字に強い人はいるものですが、あまり得意でない方はどこかで意識的に身につけないと一生同じような状態が続きます。数字が分からないと、ビジネスにおいて日々少しずつ損をしてしまいますが、一生の間には膨大な損になってしまうかもしれません。
本書はどのようにすれば「離陸」できるかということについて、分かりやすく丁寧に例を挙げて解説されています。離陸するまでしばらくのあいだ自分の意志で走り続ける必要があります。いったん離陸すれば、あとは楽しみながら悠々と数字の空を飛行できることでしょう。
本ブログで過去に紹介した著者の本