2008年03月13日
『「婚活」時代』
山田 昌弘/白河 桃子著 2008年3月1日発行 1050円(税込)
『パラサイト・シングルの時代』や『希望格差社会』などの流行語ともなったベストセラーのある「家族社会学者」と、最近出版された『「キャリモテ」の時代』の著者である「少子化ジャーナリスト」の共著です。
「婚活」とは聞き慣れない言葉ですが、「結婚活動」の略だそうです。就職活動を就活と呼ぶことの連想に由来します。日本社会において非婚化が進んでいることを踏まえて、その理由の分析や具体的な解決方法などが、男女双方に向けて書かれています。
最近は非婚化を反映して、結婚しない女性がどのように具体的に生きていくかということについて書かれている『おひとりさまの老後』がベストセラーになっていますが、本書はあくまで結婚することが前提です。
非婚化が進んだ主な理由としては、
- 恋愛市場が自由化された
- 男性の格差が拡大した
- 女性が働くようになった
などがあるようです。
「恋愛市場が自由化された」「男性の格差が拡大した」の二つについてはワンセットであり、本来の恋愛の形に戻ったということです。おそらく大昔はその結果として、一握りのオスが多数のメスの子供を残すというのが、ありふれたパターンであったことでしょう。
結婚制度、とくに一夫一婦制は人為的なものなので、恋愛市場が自由化された上で、その制度を保ち続けるのは無理があります。この問題を解決するためには、市場を再び規制するか、いままでの結婚の形を変えるしかありません。市場の規制はすでに難しそうです。となると、結婚を含んだ男女のあり方が変わるしかありません。
本書では、結婚についての今までの思い込みを捨てる必要性が書かれていますが、これは内面的にゆるやかに結婚の形を変えるということです。思いを変えにくい人はそれだけ不利になります。
本書で書かれている「婚活」は、要するに結婚市場でのマーケティングです。時代に即した、役に立つと思われることも数多く書かれています。恋愛市場が自由化しているという大きな流れの中で、結婚という一対一の限定された状況をいかにしてつくり出すかということです。
今の時代に「婚活」をするのは、人口が減少しているさびれた地方都市で、高度なマーケティングをしているようなものです。部分的には効果はあるでしょうが、全体の大きな流れには逆らえず、地方都市自体は衰退するでしょう。そのなかでマーケティングを実践できた少数の勝ち組だけが残ります。
本書も「婚活」の方法を提案していますが、本書を読む人はもともと結婚についての意識が高い層であり、その層だけが市場の仕組みを理解するため、ますます格差が開くのではないかと思います。ビジネスにおいても、マーケティングの本はもともと関心の高い人に読まれ、関心のある人がますますマーケティングの力をつけ格差が広がって行きます。
これは情報自ら探してそれを取り入れ、状況を改善してゆくという個々人のあり方に由来するので、良質な情報が出ると取り入れる人が取り入れるだけで、取り入れない人は取り入れません。情報が良質であればあるほど、取り入れた人の優位性が高くなり、格差が拡大します。
情報が出回ってすみずみまで行き渡ると、差がなくなりそうにも思われますが、そうなると新たな情報が出ており、すみやかに取り入れる人と取り入れない人の差が新たに生じます。様々なものが自由化されている状態では、この仕組みは存在し続けます。
「女性が狩り場に出て行って、めぼしい男性をどんどん狩っていく、男性は、女性に狩っていただけるように外見も含めて自分を磨く、それが、「婚活」時代の基本戦略なのです。」
と書かれています。これは、女性が以前行っていたことを男性が、男性が以前行っていたことを女性が行うことになりますが、結果的に男女間の差が小さくなり、それぞれが中性的になる方向に進みます。男女間の差がなくなりつつあるのは、働いてお金を稼ぐことについても言えます。
男女間の役割の差が大きければ大きいほど結婚がなされ、継続されやすいと思うのですが、今の時代において、結婚をするための戦略がその差を無くすことであるというのは皮肉なことです。やはり、今までの結婚制度を続けること自体に、無理があるようです。本書でも、穏当に新たな恋愛や結婚のあり方について提案されています。
本書は現代の恋愛や結婚の仕組みと、そこでうまく活動する方法についてわかりやすく書かれている良書ですが、時代の流れには逆らえず、恋愛、結婚についての格差は今後ますます開いてゆくことでしょう。
トラックバックURL
この記事へのコメント
bestbookさんのご紹介される本は、私にしてみると結構両極端なので(笑)、参考になります。
この本もそこまでおっしゃるなら、アタックさせて頂きますね(笑)。
自分の中では、人の欲望を分析し、それをいかにして効率よく満たすかという視点で、紹介する本を選んでいます。その目的に合っている本は何でも紹介しているので、拡散してしまうようです。
本書は男女両方に向けて書かれているので、男性なら男性、女性なら女性を対象にした本と比べると、マイルドな印象を受けます。
「現場」では、smoothさんもたまに紹介されているような本が、直接的にはより役に立つかもしれません。最近も紹介されてましたね(笑)。
私も本書は読んでちょっとした感想を自分のブログに書きましたが、bestbookさんの情報が行き渡るとそれを取り入れる人と入れない人との格差がよりひらくというご指摘には大変納得するものがありました。これって、たとえば、「日経新聞はみんなが読んでいるから読まなくてはならない」みたいな言い方で言われていることをもっとわかりやすく教えてもらっている感じがします。
毎日1冊ずつ読了されることもすごいですが、それを毎日ブログにお書きになっていることに敬意を表します。
また、来させてください。
突然、失礼しました。
このたびは、『婚活時代』素晴らしい書評をありがとうございます!
その他にも、『課長の教科書』や『数字力養成講座』の書評など拝見しました。一日一冊という量とご職業柄の鋭い考察に脱帽しました。
『婚活』については、弊社ブログでも社員を肴に、社長がいろいろと書いておりますので、ご一読いただければ幸いです。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
たしかに日経新聞もそうかもしれませんね。自分は、あまりまじめに読んでいませんが(笑)。
ブログ拝見させてもらいました。興味深い話題を扱われているので、たまに訪問させていただきます。よろしくお願いします。
こちらも、ブログはマイペースで続けたいと思います。時間があったらお立ち寄り下さい。
過去の記事にも目を通して下さり、ありがとうございます。御社の書籍は良いものが多いので、紹介しがいがあります。
ブログの方も拝見致しました。盛り上がりかけているようですね。御社はここ1〜2年で最も勢いよく伸びている出版社だと思いますので、これから出る本についても、楽しみにしています。
当方のブログは、まだ生後1ヶ月ほどの赤さんですが、少しずつ成長していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
こちらこそよろしくお願いします。自分もまだ生後1年ちょっとの幼児です。お互い少しずつ成長していきましょう。
これでは先日の県職員がホームから突き落とされたみたいに
女にありつけた勝ち組男が女にありつけない負け組み男に殺されても同情できんな
補償金とか出るから経済的ダメージは少なくとも
精神的ダメージは受けるだろうからw
結論
女は産む機械の肯定と否定を
姑息に使い分けて甘い汁を吸う屑
将来の屑予備軍女子中学生を強姦した
米兵GJ!と言わざるをえないなw