2008年04月16日
『わが子に「お金」をどう教えるか』
篠上 芳光著 2008年3月10日発行 798円(税込)
週末に三省堂へ立ち寄ったとき、新書の売り上げランキング第3位だった本です。10位以内に入っていた新書のうち、本書だけ内容を詳しく知らなかったので買ってみました。
発売当初本屋でざっと目を通したのですが、アンテナに引っかかりませんでした。自分の感覚と実際の売れ行きが異なっており、そのことも購入した理由の一つです。
著者は神田近辺で学習塾の代表をされており、実際に教壇にも立たれているようです。本書に書かれているように、必ずしも経済の専門家ではないのですが、日々子どもたちと接していることもあってこのような本を書かれたのでしょう。
本書が神田の三省堂でランキング上位に入っていたのは、著者の塾が近くにあることも理由の一つなのかもしれません。
章のタイトルは以下の通りです。
- 子どもは親の職業、年収を選べない
- 「お金で買えないもの」って何?
- 子どもたちのお金に関する疑問に答える
- お金の教育で自立した賢い子どもに育てる
全体的に純粋で理想論的な話が多いのですが、子どもに対する教育は理想を足がかりとすることが必要なので、本書の内容は納得できます。
お金については大人であればさまざまな思いがあると思います。多くの人は一家言あることでしょう。本書に書かれているのは、その一例であるように思いました。本書でテーマとなっている一つ一つのトピックは、それを元に話をすると各自の人生観の違いが際立って面白いと思います。
ここでは愛とお金の関係について考えてみます。
結論だけ述べると、お金を通じて愛を与えることはできますが、お金で愛を得ることはできません。純粋な愛とは与えるものだからです。
恋愛は同じ「愛」でも話が別になります。恋愛はギブアンドテイクなので、恋愛の愛はすべてではありませんが、お金で得ることができます。単に与えるだけではダメですが、要領よく「愛」を与えるために使えば、お金は強力なツールです。
数年前にさる有名なIT企業の経営者が、「女はカネについてくる」と言って顰蹙を買いましたが、部分的な真実だけに顰蹙だったのでしょう。
お金をうまく使うと女性にはモテますが、本当の愛が得られないので、いくらモテても心の底からは満たされません。高いお金を払って、いくらおいしい料理を食べても、真に心が満たされないのと同じです。
お金によって人間の欲望はほとんどすべて満たすことはできますが、心の深い部分を満たすことはできません。自分が子どもに教えるとしたら、このように話すと思いますが、そのためには人間の欲望とか心の深い部分が何であるかということについても説明する必要が生じます。
お金については、そのパワーと限界の両方を伝える必要があると思います。お金の力を過度に抑圧することは、過度に評価することと同じであり、お金に過剰なパワーを与えることになります。