2008年05月23日
『理系サラリーマン 専門家11人に「経済学」を聞く!』
平林 純著 2008年5月30日発行 1000円(税込)
理系サラリーマン 専門家11人に「経済学」を聞く! (Kobunsha Paperbacks Business 17)
著者は理系エンジニアの方です。本書は経済学の「素人」の視点で、旬な経済学者11人に著者がインタビューしています。インタビューとインタビューの間に、インターネットを通じてのアンケートやコラムがあり、最後にはブックガイドがあります。
本書でインタビューされている経済学者の方は、一般向けの啓蒙書を書かれている方が多いのですが、書店の啓蒙書の著者からインタビューする方が選ばれたからのようです。インタビューのテーマとされる方は以下の通りです。
- 本当の成果主義って何ですか?---大竹文雄
- 給料格差時代に希望が持てますか?---玄田有史
- お金をたくさん持っている人が幸せですか?---友野典男
- 結局お金って何ですか?---松原隆一郎
- インサイダー取引ってなぜ悪いんですか?---小島寛之
- なぜ今「会社は誰のものか」ということが問題なのですか?---奥村宏
- 市場で決まるモノの価格は適切なのですか?---西村和雄
- 経済学で戦争は止められますか?---森永卓郎
- 平均的でない人も経済社会で幸せになれますか?---中島隆信
- ”経済学の世界”には、どんな魅力と危険があるのですか?---小島寛之
- 経済学・自然科学・工学の間にはどんな関係があるのでしょうか?---栗田啓子
- 経済が低成長でも「豊か」な暮らしができますか?---中村達也
このブログでも著作を紹介した数多くの著者がインタビューされています。
一つ一つのテーマが興味深く、インタビューをしている経済学者の方の人選もよいと思うのですが、ページ数の関係であまりつっこんだ話ができないのがやや残念なところです。
図も数多く工夫されており、構成などもうまくできていると思います。写真も豊富で経済学者の方々の雰囲気が伝わってきます。本書はどちらかというと経済学の「雰囲気」を楽しむ本なのかもしれません。
本書は経済学の啓蒙書の啓蒙書といえるでしょう。本書を読むと経済学の幅広さと多様性がわかります。本書「経済学者が10人いると、経済学は11ある」という言葉がありましたが、世の中に最適化・効率化することは数限りなく存在するからです。
本書でテーマになっている経済学や株式会社はまだできてからたかだか数百年しか経っていません。自然科学も同様です。これからの人類の歴史を考えると、現在は両者は初期の初期であると思われます。
経済学は1000年後にどのように発展しているのでしょうか。経済学の大きなテーマは資源の最適配分なので、自然科学の発展によって、資源の供給がどのような状態になっているかに拠ると思います。
自然科学が十分に発展して資源の供給に問題がなくなれば、あとは人間の主観的な価値が大きな問題になってくると思われるので、経済学は人間の価値観を形成する心理的側面と密接な関係を持つ学問になるのではないでしょうか。


