2008年05月30日
『ニューリッチの成功法則』
高城 幸司/原田 曜平著 2008年6月12日発行 1680円(税込)
ニューリッチの成功法則―目指せプチ富豪! 年収2000万円突破で世界が変わる!
コンセプトがはっきりしている本です。サブタイトルにあるように、年収2000万円を目指そうという主旨です。その根底には、年収1000万円の目標では不十分という考えがあります。
本書は内容の半分程度が年収2000万円以上の6名の方々に対するインタビューです。収入の獲得方法はさまざまですが、それぞれのインタビューの最後に、話の内容に基づく成功のポイントが簡潔にまとめられています。
一昔前は、給与所得者の一つの目標は年収1000万円と言われていました。本書の主張は、1000万円の目標はそんなにうまみがないということです。
特別な会社に勤めていない限り、1000万円は勤めている会社で地位を上げたり、労働量を増やしたりしないと到達できない目標です。真面目にコツコツ働いても年収1000万円に到達するには10年以上かかることも多いでしょう。会社によってはいくら一生懸命働いても、それだけの額は貰えないところもあるかもしれません。
2000万円という数字は、以前の価値観で一つの会社でコツコツ働いても長年かけて取締役にでもならない限りは困難な数字です。本書のインタビューの事例にあるように、不動産投資をしたり、副業をしたり、自営で独立したり、起業したりしないと現実的には不可能な数字です。
著者たちが言いたいのは、単に努力するだけでなく稼ぎ方に対する発想の転換が必要であるということでしょう。そして時代は発想の転換をした人に、一昔前よりはチャンスを与えるだけのものを提供しています。本書ではいくつかの具体例を示すことにより、そのチャンスが比較的身近に存在することを教えてくれます。
現実的にも子供の教育などに対するコストが上昇しているため、1000万円では余裕があると言えるほどの生活はできなくなっています。しかしながら、2000万円あるとある程度の贅沢はできるそうです。ただし、お金のことを考えなくてよいほどの贅沢はできないとのことです。
最後に「ニューリッチになるための10の成功法則」がまとめられています。
- 変化を他人事と考えず、「自分事化」して考える
- 上の世界にあえて背伸びして入って、その世界に触れてみる
- あえて分不相応な消費を実践してモチベーションを高める
- 年収2000万円の差額を計算してみる
- 限られた価値でなるべく最大価値を生み出す副業を探す
- 少しでもいいから所得を一度増やす体験をしてみる
- ニューリッチの生活を疑似体験してみる
- 富裕層と付き合うために彼らにギブできるものを持つ
- 富裕層は誘われるのがすき。人脈・趣味を活用せよ
- 富裕層は24時間、1分1秒、自分が損しないことを考えている
とりあえずその気になればよいようです。
50年近く前に国の経済計画で所得倍増計画がありましたが、今の時代は自分で所得倍増計画を立てる必要があります。本書には書かれていませんでしたが、本書は「個人的所得倍増計画のススメ」です。
日本のGDPを今まで以上に増やしていくためには、個々人がそれぞれの知恵で工夫して所得を増やし、その結果として日本のGDPが増えていたというようにするのがよいのかもしれません。日本は成長しきってパイは限られているようにも思いますが、知恵を使って価値を生み出せばパイが大きくなる余地はあるようです。