2008年06月16日
『ビジネスマンのための「解決力」養成講座』
小宮 一慶著 2008年6月15日発行 1050円(税込)
シリーズ化しつつある著者の『ビジネスマンのための「〜力」養成講座』ですが、本書は「解決力」です。過去に出ている二冊の本は本ブログで紹介しました。
ちなみに「読書力」も原稿はできているそうで、出版されるのが楽しみです。
本書のカバーに使われている色は、以下のように最近ビジネス書でよく見るようになった色です。
いずれもよく売れている本です。二番目の本は数日前に紹介しました。
本書は、経営コンサルタントとしての著者の「知恵」について解説されている本です。長年の経験において身につけられたものを読みやすい形で提供してもらいありがたいことです。
本書は解決力についてですが、比較的マーケティング寄りのことについて解説されています。4つのP、AIDMA、SWOT分析、PPMなど、マーケティングにおける基本的な考え方についても実例を用いながら述べられています。
いずれもマーケティングにおいては古典的ともいえる基礎概念ですが、著者の考えでは、過去の定石的な考え方は時間の効率を高めるためにも理解しておくのがよいようです。
本書では日本三景の一つである天橋立を訪れた際の著者の体験が出てきますが、ちょうど昨年行ったところなので現地の情景や本書に書かれていた電車が目に浮かんで解説に共感できました。
天橋立は他の日本三景である宮島や松島と比べると、やや活気がないようです。実際に訪れたときもそのように感じました。本書を読んで理由を考えてみました。
宮島は広島から、松島は仙台から行きますが、それぞれ1時間、30分程度です。天橋立は京都府にあり、京都から行くことが多いと思いますが、電車で2時間程度かかります。まずは移動における時間的な問題があります。
さらに、京都には見切れないほどの観光名所があります。広島は原爆ドームや平和記念公園がありますが、それ以外の大きな観光名所はありません。仙台も青葉城くらいです。旅行で広島に行く人はほとんどが宮島に行くでしょうし、仙台に行く人は松島は外せません。
しかしながら、京都に行く人は天橋立をほとんど訪れないでしょう。天橋立と宮島、松島を比べると、訪れるときに起点となる都市の観光性に大きな違いがあります。他には、日本海側にあることなども関係しているかもしれません。
やはり活性化するためには、宮島のように世界遺産に登録されることを目指すのがよいと思います。そうすると、日本のみならず外国からの観光客が増えることでしょう。韓国や中国からの観光を考えると、日本海側にあることが逆に有利に働くようになるかもしれません。と書いたところで検索してみると、「天橋立を世界遺産にする会」がすでにありました。
著者の本に共通して言えることですが、読んでいるうちに問題が解決できそうな気がしてきます。コンサルティングをしている時に、周囲の人に「何となく解決できそう」という気持ちになってもらいやる気を起こさせるのは、コンサルタントとしての重要な能力です。著者の本からは、そのような雰囲気も感じ取ることができます。
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この記事へのコメント
僭越ながら、御社の発展の理由の一つには、社長自らが本を編集をされたり、ブログをお書きになったり、軽いフットワークでこのようにコメントをされることにあると思います。
「読書力」の方も楽しみにしています。これからも、本書のような世の中のためになる良書を出されることを期待しています。