2008年11月10日
『寿司屋のカラクリ』
大久保 一彦著 2008年11月10日発行 735円(税込)
著者は「フードコンサルタント」の肩書きで飲食店の経営コンサルティングをされている方です。本ブログで過去に何冊か本を紹介させてもらいました。それらの本は飲食店全般が取り扱われていましたが、本書の内容は寿司屋に特化されています。
著者の本を読むたびに思うのですが、著者は食や飲食店について大きなこだわりをお持ちであるということです。食や飲食店がお好きなことが、行間から伝わってくるのが感じられます。
日本人であれば寿司を食べたことがない方はほとんどいないはずなので、本書の内容は日本人であれば誰でもある程度の興味が持てると思います。最近では、海外でも寿司は独自の発展を遂げつつありますが、本書ではその点についても少し触れられています。
本書は、大衆店、高級店、回転寿司などさまざまな寿司屋の業態について、実際の取材をもとに書かれています。著者にこだわりがあるので、かなり突っ込んだ話も出てきます。細かい内容については、読み手の興味に応じて面白さも違ってくるかも知れません。
本書で採り上げられている寿司屋のリンクを以下に挙げておきます。サイトがないお店は紹介しているサイトへのリンクになっています。
- 寿し常 :大衆店。東京中心にチェーン展開されている。
- 吉武 :六本木の高級店。
- 入船(ぐるなび) :マグロが売りの有名店。世田谷の奥沢にある。
- 第三春美鮨(食べログ) :新橋の高級店。
- さかえ寿司 :千葉の稲毛にある。オーナーが寿司を世界に広める活動をしている。
- すし処大敷 :金沢の高級店。カニが売り。
- 寿司源(食べログ) :寿司で有名な大分県佐伯市の寿司屋。
- 錦寿司(Yahoo!グルメ) :同上。細工鮨で有名。
- 活種鮮寿 :岡山の繁盛点。売り方がユニーク。
- 銀八鮨 :神奈川の繁盛店。
- 銚子丸:回転寿司のチェーン店。ジャスダックに上場している。
日本全国からさまざまな業態の寿司屋が紹介されていることが分かります。テレビで頻繁に紹介される有名店やから、地方のお店まで幅広く扱われています。
この中で行ったことがあるのは寿し常です。本書では赤羽店が紹介されていますが、昔何回か行きました。本書で詳しく紹介されていますが、リーゾナブルな価格設定でさまざまな工夫がされていました。
最後の銚子丸は回転寿司ですが、上場企業です。IR情報で決算書など最近の業績を簡単に見てみましたが、最近は不況のためやや苦戦しているようです。回転寿司であり敷居が低いので、いつか食べに行って実際の様子を体験したいと思います。
本書では単に定性的な情報だけでなく、経営に関する具体的な数字についてもある程度述べられていたのも面白い点でした。大ざっぱですが、原価の割合などがわかります。また、国の経済状況の視点から、外食産業の変遷について分析されているのも参考になりました。
水産資源が減少しつつあること、世界中で寿司の需要が拡大しつつあることなどにより、寿司のコストは中長期的には上昇すると思われるので、低価格を売り物にしている回転寿司の会社には投資しにくいのですが、チェーン展開しやすい業態なので、投資対象として魅力的な点もあります。
そのうち、マクドナルドのように世界中にチェーン店展開をする寿司の企業も登場するかも知れません。世界全体が高齢化するので、ヘルシーなイメージがある寿司は、ますます世界で広まるのではないかと思います。



