2008年11月22日
『[図解]資源の世界地図』
長濱 利廣/鈴木 将之著 2008年11月15日発行 924円(税込)
![[図解]資源の世界地図 (青春新書INTELLIGENCE 217)](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51NJo9MF9SL._SL160_.jpg)
[図解]資源の世界地図 (青春新書INTELLIGENCE 217)
新書にしてはやや高めですが、これは本書が二色刷だからのようです。著者はエコノミストをされている方々です。石油資源、食糧資源、鉱物資源、水産資源、環境資源、新エネルギーについての世界的な需要や供給を、豊富な図表を用いて解説されています。
一時期騒がれた資源の高騰ですが、最近は金融危機の影響で全般的に下落傾向にあります。本書のような本は資源が高騰しているときの方が注目されやすいかもしれません。
現在の資源の価格が長期上昇トレンドの調整局面にあるか、それとも下降トレンドにあるかは、今後の金融危機と世界不況の顛末次第です。
本書に書かれているような需給データから考えると、世界経済が再び成長過程に乗れば資源は高くなるでしょうし、不況が続けば高くはならないでしょう。
個人的に注目しているのは食料です。ここ数年資源高のトピックスの中心は原油でしたが、不足した場合にもっとも人間の恐怖心に強く作用するのは食料だからです。
食料は保存が利きにくく、供給が天候に左右されやすい面があります。今まで大きな話題にならなかっただけに、いったん調整局面が終了し、さらに天候不順による不作でも重なると高騰の可能性が高いと思います。
しかしながら、食料価格が高くなることが必ずしも悪いわけではありません。おそらく食料価格が全般的に高くなると、エネルギー効率のよくなく価格の高い肉食の量は市場原理により減少することでしょう。また、一人の人が摂取するカロリーも減少せざるを得ません。
このことは生活習慣病のことを考えると、悪くない傾向です。世界全体の賃金が平準化する傾向にあることを考えると、昔のように餓死する人が増えるというよりもどちらかというと一人一人が摂取する量が少なくなるはずです。
ヒトは食料が不足している状態で進化してきたため、現在のように食料が十分にある環境向けには体の仕組みができていません。血糖値を上げるホルモンは数種類ありますが、下げるホルモンはインスリンだけです。
今後もしも資源全体が不足したとしても、必ずしも人間の幸福感は減少しないかもしれません。なぜならば、資源が不足している状況からそれを努力と創意工夫によって満たしていく過程に人間の幸福感が存在することが多いからです。


