2009年01月03日
『男子のための恋愛検定』
伏見 憲明著 2006年4月7日発行 1260円(税込)
男子のための恋愛検定 (よりみちパン!セ)
著者:伏見 憲明
販売元:理論社
発売日:2006-04
おすすめ度:
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本書は出版されてからすでに3年になろうとする本です。先日紹介した『この世でいちばん大事な「カネ」の話』は「よりみちパン!セ」というシリーズの新刊でしたが、中学生向けに書かれたこのシリーズは先日まで知りませんでした。
「よりみちパン!セ」のシリーズの既刊を見てみたところ、面白そうな本がいくつかありました。本書はそのうちの一冊です。このシリーズは中学生向けに書かれていますが、さまざまな分野についての本質的なことが平易な言葉で書かれています。考えてみるとこれはすごいことかもしれません。
中学生の教科書などを思い浮かべるとわかりやすいと思いますが、年齢相応に理解するべきことをわかりやすく書くのはそれほど難しくはありません。しかしながら、お金や恋愛のことは大人になっても本質的に理解するのは難しいままであり、それを中学生向けにわかりやすく書くのは容易なことではありません。
お金や恋愛のことについては、大人になってもよく理解していると言える人は少ないのではないかと思います。なぜなら、それらのことについては、学校などではきちんと教えてくれないからです。
お金や恋愛ことは、ほとんどの人にとって人生の重大事であるにもかかわらず、なぜこれらのことが学校で教えられないかは一つのテーマであると思います。多くの人にとっては、二次関数の性質よりも、恋愛の仕組みや世の中のお金の流れを知る方がはるかに重要です。
「よりみちパン!セ」のシリーズは、大人が読んでも十分に役に立つ本であると思います。むしろ、大人が読むべき本かもしれません。なぜなら、本書のような本は、中学生が読んでも体験が少ないため、理解しにくい部分も多いからです。また、大人になってもこのシリーズの内容が理解できていないことも多いからです。
大きな文字で読み仮名もふんだんに振られているため、中学生が読んでも言葉は理解できますが、言葉が含む内容までは理解できないことも多いでしょう。けれども、中学生が読んで意味がないということはありません。一度読んでいれば、実際の体験をしたときにより理解が深まるからです。
タイトルからもわかるように、本書は恋愛において必要とされる事柄について男子向けに書かれています。もちろん、女子が読んでも役に立つと思います。
一番最初に30問の恋愛検定テストがあります。すべてYes-Noで答える形式の問題ですが、これがなかなか容易ではありません。自分もいくつか間違ってしまいました。ちなみに間違った問題は、
- 中学生はセックスしないほうがいい
- どんな「恋愛」もいつかは終わる
などの問題です。恋愛についての問題は主観的な要素も強く、問題の解答には制作者の人生観が反映されるので、正解不正解はあまり気にする必要はありませんが、本書の問題をもとに、恋愛について考えることができます。本書の内容は、テストについての解説にもなっています。
本書は、性感染症や妊娠についてもそれなりの分量を取って書かれており、中学生向けのためか、性教育的な意味もあるようです。
容姿や経済力の意味についても、本書ではありのままに書かれています。物事を理解するためには、つらい現実を直視する必要があることがありますが、恋愛においてはそのつらい経験を避けられないことが多いようです。
結婚にいたる方法としての主なルートが恋愛となった現代日本においては、結婚の経済的な価値が数千万円から数億円であることを考えると、恋愛の重要性もより高くなっています。
恋愛の仕組みを理解せずに恋愛をするのは、資本主義や株式会社の仕組みを知らずに株式投資をしたり、営業やマーケティングの知識なしに販売をしたりするようなものです。
この数十年で日本では恋愛市場が自由化されましたが、恋愛の仕組みはほとんどの人に十分には伝わっていませんし、セーフティネットも存在しません。
経済的資源の配分についても、性的資源の配分についても、自由な弱肉強食の状態は本来のヒトの集団の状態に近いようです。現在の恋愛市場は本来の状態にあると言えますが、そのことを意識することなく気がついてみたら経済的資源、性的資源にアクセスしにくい状態になっていたということも多いのかもしれません。
「天は自ら助くるものを助くる」という言葉がありますが、「天は自ら助けないものは助けない」といった方がより正確であると思います。
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この記事へのコメント
最近まで学生であった私の恋愛事情について少々・・・。
私(ちなみに男です!)は工業系の学校に通っていましたので男女比は8:2ほどでした。
それはそれは、恋愛弱肉強食の世界でありました(笑)
こういった特異的な環境でしたので、世間でイケメンといわれるような男子達でもなかなかパートナーに恵まれないといった状況でありました。
この激しい生存競争!?を乗り切るために私が注目したのは、他校との合コンを頻繁に開いていた幹事の人と仲良くなり他校の女子を紹介してもらうというものでした。
bestbookさんの 〜経済的資源、性的資源にアクセスしにくい状態になっていたということも多いのかもしれません。という一文から青春時代のことを思い出した次第です(笑)
ご紹介の本、機会があれば読んでみたいです。
恋愛、結婚、経済についての、本エントリーでの記載は素晴らしいものがあると思います。深く感心致しました。
恋愛事情を教えていただきありがとうございます。男女比8:2は大変ですね。それくらいだと、高校生あたりで年代的にもともと強い女性の立場がさらに強くなりますね。
不利な市場で争わず外部の新たな市場を開拓するのはよいやり方です。不利な市場で争うことはないと思います。また、モテるためにはまずモテる男性と友人になるのもよい方法だと思います。
恋愛における価値は需給で決まる要素が強いので、どのように自分をポジショニングするかは大きなポイントです。
個人的な経験をお書きいただきありがとうございます。
>のっぽ187さん
はじめまして、同業の方よりコメントいただきありがとうございます。
記事を好意的に御評価いただき嬉しく思います。今後も男女関係についての本は、力を入れて紹介していきたいと思います。
『草食系男子の恋愛学』は他の書評ブログを通じて知り購入したのですが、採りあげていませんでした。
ご提案いただきありがとうございます。近日中にさっそく記事にしたいと思います。今年は男女関係の記事を増やすつもりでしたので、よいタイミングのご提案でした。