2009年01月09日
『出社が楽しい経済学』
吉本 佳生/NHK「出社が楽しい経済学」制作班著
2009年1月10日発行 1260円(税込)
出社が楽しい経済学
販売元:日本放送出版協会
発売日:2009-01
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まだ書影がないようです。本書は、明日1月10日からの23:00〜23:29の時間で毎週土曜日に全12回に渡って放映される経済学教育番組『出社が楽しい経済学』に基づいて書かれた本です。なんとか番組の開始まで出版が間に合ったという印象を受けます。
番組はNHKの制作班と『スタバではグランデを買え! 』の吉本佳生氏によって作られています。啓蒙的な番組なので、普段から経済学の考え方に興味を持ってある程度の本を読まれている方には、本書と番組の内容は物足りないかもしれませんが、経済学的な考え方がどのように番組で表現されているかは興味があるところです。
本書の章のタイトルは以下の通りで、各階の番国のテーマと同じのようです。
- サンクコスト〜覆水盆に返らず
- 機会費用〜時は金なり
- 比較優位〜カネも能力もないあなたへ
- インセンティブ〜やるもやらぬもこれ次第
- モラルハザード〜安きに流れるは人の性
- 逆選択〜悪貨は良貨を駆逐する
- 価格差別〜すべてはお客様の懐次第
- 裁定〜確実に儲かる方法、教えます
- 囚人のジレンマ〜正直者は馬鹿を見る?
- 共有地の悲劇〜ただ乗りはご遠慮ください
- 割引現在価値〜おカネと時間の微妙な関係
- ネットワーク外部性〜つながるって素晴らしい!
経済学の啓蒙書で話題になりやすく、日常生活に身近なトピックスがテーマになっています。番組や本書によって出社が楽しくなるかどうかはわかりませんが、これらの概念の理解を通して、世の中の現象がわかりやすくなることはたしかであると思います。
番組の対象はほとんどの人のようですが、一番の対象は社会人になって働き始めた若者だそうです。本書の制作スタッフも番組の制作を始めるまではほとんど経済学を学んだことがなかったとのことで、初心者目線で番組がわかりやすく作られていることが期待されます。
本書の内容は、なるべくわかりやすいように単純化されているため、細かいことを考え始めるといろいろと突っ込みたくなるのですが、わかりやすさを厳密さより優先しているようです。各章の始めにQ&Aがあり、その後に番組内容の概略、吉本先生の解説、ディレクターの番組裏話と続きます。
経済的な番組が放映されるのは喜ばしいことです。ほとんどの場合、テレビは物事の深い内容まで伝えることはできませんが、ビジネスでいうと「見込み客」を開拓する働きがあります。
テレビで視たことをきっかけにして、あることに興味を持つということはよくあることです。番組を見て興味を覚えた人が理解を深めるための良書は数多くあります。上にリンクを張った番組のホームページがありますが、そこにさらに各回の内容の理解を深める本が紹介されていると親切かもしれません。
民主主義国家である日本では、一人でも多くの人が経済学的な思考方法、つまり合理的な思考方法に興味を持って意識を高めることが、遠回りですが国の経済的な効率を高める本質的な方法です。
読書が好きな人からはあまりよく言われないことが多いテレビですが、うまく活用すれば読書につなげることもできるかもしれません。


