2009年01月23日
『独身女性200人に聞く モテるおカネのつかい方』
牛窪 恵著 2009年2月3日発行 1500円(税込)
独身女性200人に聞く モテるおカネのつかい方
著者:牛窪 恵
販売元:アスペクト
発売日:2009-01-20
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男女関係の本は今までに数多く出ていますが、一冊まるごとデートでの奢りという行為だけに絞って書かれた本はおそらく本書が初めてでしょう。そのような意味において本書は貴重な本です。
著者は現代の独身男女の世相についてマーケティング的な視点から何冊かの本を書かれている方ですが、多くの男性にとって今回出た本書が最も実用的な本でしょう。
本書の目次は以下の通りです。
- 日本経済と「モテ男」の変遷---いまの時代、女が求めるサイフ術とは?
- 男と女の、サイフ術ギャップ---なぜ女は、男のソコを見るのか?
- キャラが分かればもっとモテる!キャラ別サイフ術---自分らしさと「意外性」が、恋愛成就への近道
- 恋愛シーン別・女がグッとくるサイフ術---このとき、この場所で、女は男にナニを望むのか?
- ゴチ男とケチ男のボーダーライン---本命の座を確実にする、最高のサイフ術とは?
男女関係において男性の大きな役割の一つが女性に経済的資源を与えることであることを考えると、女性に奢るという行為の重要性はいくら強調しても強調しすぎることはありません。現在は以前よりも男が女に奢るという行為における意味の重要性はより高まっています。
現代においては、たんに男性が奢ればよいというわけではないところが難しいところです。少し昔であれば、奢るという行為のポイントはどれくらい奢るかという量的な問題でしたが、現代では奢るという行為を通じて、どれくらい奢れるかということだけでなく、その場の空気を読む能力も試されているようです。
女性からすると、デートにおける男性の奢るという行為を観察すれば、その男性について多くの情報が分かるということになっており、女性が男性についてただひとつ重要な指標を選ばないといけないとすると、デートにおける奢りという行為になるのかもしれません。
本書は200人の独身女性対するアンケート調査や数人の女性による座談会がもとになっており、その結果は男女のことのみならず、現代の世相を眺めるヒントにすることもできます。
本書の内容からは、その時代の景気などの経済的状況が、男女関係のあり方のかなりの部分を規定するということがよく分かります。男女関係の本質には経済的なやりとりが含まれるので、時代の経済的な要素と切り離して考えることはできません。
本書ではバブルの少し前から現代まで時代を分けて分析されており、そのあたりも読みどころです。そのあたりの記述は、ちょっと古い本ですが『なんとなく、クリスタル』を連想させるような部分もあります。
男性が本書を読むに当たって、少し注意しないといけないのは、本書の多くは女性の視点によって構成されているということです。女性の「本音」がわかって参考になる点は多々ありますが、本書のような本では、女性の無意識の部分の本音は表れにくくなっています。
その部分については、女性の言葉ではなく、男性の行為に対する女性の振る舞いを見るしかありません。微妙なことについては、女性は分かりやすいように表現してくれることは少ないですし、そもそも女性自身も自分で意識できていないことも多いと思います。
本書を読むとよく分かりますが、結局のところ経済的なことについて女性が気にしているのは、「その男性が自分にどれくらい多くの経済的資源を与えてくれるか」に尽きると思います。
逆に考えると、少ない経済的資源しか与えられないと思われるのは避ける方がよいということになりますが、本書に書かれていることの多くは、そう思われないためのノウハウです。
現代は男性に配分される経済的資源の相対的な量が減少しているため、その減少した経済的資源をいかに効率的に活用するかがポイントになっていますが、その活用力を現代の若い女性は観察しているということがよく分かります。
女性の方も若い男性にお金が回ってこない現状を理解して、男性に注意するポイントを変えているようです。
現代においては、いかに配分するかということが重要であることはよくわかりますが、最も重要なのは、男性に成長性があり将来的に経済的資源が増大する期待が持てることです。
国について考えても、経済成長は配分の問題の多くを自然に解決しますが、男女間においても男性に成長性の期待があれば、女性はデートでの奢り方に対してそれほど気にしなくなることでしょう。
本書に書かれていることはもちろん重要であり、実用的に役に立つと思いますが、一番重要なのは、男性が自分自身の成長性を女性に認めてもらうように日々生活することだと思います。その上で本書に書かれていることに気をつければ鬼に金棒です。
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この記事へのコメント
こりゃまた、スゴイ本を見つけてこられましたね〜(笑)。
なんだか私好みの「身も蓋もない」本のような。
しかも星5つ評価とは(汗)。
謹んでアタックさせて頂きます!
この記事の中の
>結局のところ経済的なことについて女性が気にしているのは、「その男性が自分にどれくらい多くの経済的資源を与えてくれるか」に尽きると思います。
この一文にうなずきまくってしまいました。
私は婚活中なのですが(笑)例えば年収6百万円の男性と1千万円の男性がいたとして、前者はデートの際に全額支払ってくれるが、後者は割り勘にされるとすると、他の条件が全く同じだとしたら前者の方が魅力的に”感じ”ます。
私のように相当に合理的思考をしがちな人間でも、こと男女関係になるとそうした目先の利益によって”不合理な”選択をしてしまうということに、自分自身で情けないです。
そして婚活市場にいる高齢の高収入男性の多くが非常にケチだというのもまた事実です。(単に私が資源を配分したいほどに魅力的でないだけかもしれませんが・・・。)
経済的資源を与える、ってことでそんなことを思い出しました。
お買いあげいただき、ありがとうございます。
本書はおそらく面白くお読みいただける
のではないかと思います。
本書は書店でマーケティングのコーナーに
置いてありましたが、真っ先に目に入り
ました(汗)。
>なにさまさん
はじめまして。
コメントありがとうございます。
合理性をどのように考えるかにもよりますが、自分に対して気前のよい年収6百万円の男性とケチな年収1千万円の男性を比べると、女性にとっては前者の方が魅力的なのは合理的かもしれません。
女性にとっては、最終的に自分にどれくらいの経済的資源が与えられるかが大事なようなので、自分に多くを与えてくれる年収6百万円の男性の方が魅力的なのは自然で合理的です。年収2百万円と6百万円の男性の比較となると、また話が別になるかもしれませんが・・・。
高収入でほどよく気前がよい男性は女性が放っておかないので、マーケットの評価はそれなりに合理的なのかもしれません。高収入でも女性は自分に与えられないと、その男性の価値は低下してしまいます。奢り方が大事なのは、男性がどれくらい女性の「自分に」という部分を気にかけてくれているかが分かるからのようです。
>donaldさん
コメントありがとうございます。
男の方も女性を「買いたい」わけではないのでしょうが、とくに社会人になって付き合う場合は、与えることができるのに経済的資源を与えないと女性は「愛」や「誠意」を感じられないようです。
男女関係は基本的に愛に基づいた関係というよりも、ビジネスと同じように利害に基づいた関係だと思います。身も蓋もありませんが。