2009年02月19日
『非モテ!―男性受難の時代』
三浦 展著 2009年2月20日発行 809円(税込)
非モテ!―男性受難の時代 (文春新書 686)
著者:三浦 展
販売元:文藝春秋
発売日:2009-02
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まだ画像がありませんが、文春新書の新刊です。メインの著者は『下流社会』の三浦展氏であり、今までの数多くの著作と同様、本書でも著者が行われている調査結果をもとにして格差について論じられています。今回のテーマは「モテ・非モテ」になっています。
調査結果については、だいたいが日常感覚や時代感覚と合致する内容になっています。サブタイトルが「男性受難の時代」となっていますが、このサブタイトルが本書の中心軸になると思います。
本書の目次は以下の通りです。
- 「非モテ」男が絶望する社会
- モテと容姿の格差社会
- どんな男女がモテるのか?
- モテない男は「正社員力」がないのか?
- なぜモテと性格がこれほど重要になったのか?
- 女が男を選ぶ時代---雑誌「an・an」から見た変化
- 「男性保護法」のすすめ
年々女性が強くなってきているのは、若い男性であれば日々痛感されていることでしょう。本書では何人かの若い男女に対するミニインタビューもあり、それらの内容からも女性が強い立場にいることがよくわかります。
また調査結果からは、仕事の能力、コミュニケーション能力、経済力などが豊富でない男性が非常につらい立場にあることがよくわかります。これら三つは相関も強く、時間が経つほど差がついてしまいます。
なぜこのようになってしまったかを考えると、日本の経済成長が鈍化したことや、正社員と非正社員の格差などがまずは思い浮かびます。リスクとリターンの関係から考えると、いろいろな点で安定している正社員の給料は非正社員より低くあるべきですが、実際はそのようになっておらず、非正社員は非常に不利な立場に追い込まれています。
それらの理由もありますが、「男性受難の時代」になったおそらく最も大きな原因は、労働市場が女性に開放されたことです。本書には一章を割いて、「「男性保護法」のすすめ」が述べられています。
「正社員は男性を優先すべき」とあり、女性からするととんでもない提案かもしれませんが、これは一理あります。なぜなら、現代の女性が男性とほぼ対等に近い状態で女性が労働市場に参入できる状態は、女性を圧倒的に強者にするからです。
若い男女を考えてみるとよく分かりますが、性的に強いのは圧倒的に女性です。若い男性はセックスについて切迫感があり、切迫感が強い方が交渉においては立場が弱くなるのはビジネスの世界と同じです。
昔は男性しか経済的資源を獲得できなかったので、性的な強者である女性に対して、ようやくそれでバランスが取れていました。しなしながら、現代は労働市場が女性に開放されたことにより、女性が経済的資源を獲得するルートが開かれてしまいました。
男女を「平等」にするために労働市場を女性に開放したことにより、実は男女平等な状態になったのではなく、圧倒的に女性が有利な状態になってしまったわけです。女性が働きやすい職場の環境作りは時代の流れですが、これは男性の立場を弱くする流れでもあります。
なぜこのようになってしまったかというと、利潤を求める資本主義が女性という労働力を求めたからです。企業の生産性が上がるのであれば、資本主義は女性が働きやすい環境を自然に提供するようになっています。なぜなら、その方が利潤が増えるからです。
資本主義は利潤を追求しますが、ヒトが子孫を残すことには頓着しません。先進国では少子化が進んでいますが、先進国は資本主義が高度に発達しているからでしょう。
この問題は資本主義に原理的に存在する問題なので、資本主義社会に生きている限り、少子化は自然には解決しないでしょう。少子化は多くの人が考えている以上に真剣に深く考察するべき問題です。なぜなら、少子化を食い止めるのは資本主義の原理に逆らう必要があるからです。
今回の金融危機もあり、資本主義の問題点は議論されることが多いのですが、子孫を残すという生物としての人間の役割を考えると、ひょっとすると資本主義の最大の問題点は、男女の均衡していた力関係を女性優位にシフトさせることにより、少子化を生じることかもしれません。
資本主義の歴史は、男性が弱者になる歴史かもしれません。まさか本当に「男性保護法」を成立させるわけにもいかないと思います。ひょっとすると、男性が優位性を回復する方法は、戦争くらいしかないのかもしれません。
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この記事へのコメント
昼にこの記事を拝見して、我慢できず書店に走ってしまいますた(汗)。
まさか、こんなタイトルで来るとは(笑)。
代わりと言っては何ですが、昨日『認められる力』をアマゾンアタックしたので許してください。
でも、明日の記事書くのに忙しくて、まだどちらも全然読めてないのですが〜(汗)。
お気遣いいただきありがとうございます。記事をお読みいただくだけで十分です。もちろんお買い上げいただくとさらに嬉しいのですが(笑)。
自分もリアルの書店さんにも立ち読みでお世話になっているので、買えるときはなるべく買うようにしています。