2009年02月20日
『欲情の作法』
渡辺 淳一著 2009年2月20日発行 1155円(税込)
欲情の作法
著者:渡辺 淳一
販売元:幻冬舎
発売日:2009-02
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著者名とタイトルで売れそうな本です。雑誌の連載を大幅に加筆・修正された本のようです。タイトルに「欲情」とあり過激な印象を受けますが、実際に書かれているのは「恋愛の作法」というべき内容で、男性が女性にアプローチする上でオーソドックスな方法が語られています。
本書の目次は以下の通りです。ほぼ男性が女性にアプローチして事を進める順番にしたがっています。
- 男は振られる生きものである
- 二兎しか追わぬもの一兎も得ず
- 考えるよりまず行動を
- 巧言令色ときめく愛
- 焦らず明るく正直に
- 近づきながらテイスティング
- 容易に許す女は軽いのか
- 結ばれる直前に考えること
- 挿入する性とされる性
- 男が萎える派手派手下着
- 文句をいえない男に代わって
- セックスは二人の共同作業
- うまくできなかったときに
- なぜ、男と女がいるのか
最近は年々女性が強くなっているので、本書に書かれているのはやや古風な印象を受ける場面がいくつかあります。たとえば、最近の女性はあまり語尾に「〜だわ」などと「わ」をつけないように思います。
本書では男性の積極性や能動性が強調されており、男女の役割がはっきりしている一昔前の感じがするため、最近ではそのまま当てはまらないのではないかと思ってしまいますが、実は本書に書かれているのは最近でも役に立つと思います。
女性が強くなってきていると言われますが、実際の恋愛行動においては、男性が積極的であるのはまだまだ必要であり、その役割は長年の進化において形成されてきたので、そう簡単に変化することはありません。
最近は婚活などで女性が「狩り」をするように推奨されていたり、男性が女性的になって女性と共感し合うようなことが奨められていたりしますが、これは過度に当てにしない方がよいと思います。
むしろ現代においては男性の男性性が抑圧される傾向にあるため、潜在的には女性は男性の男性性の欠如に物足りなさを感じているはずなので、逆に男性性をアピールできる男性に存在感が生じます。むしろ昔よりも男性性の価値が上がってきている面もあります。
昔は男性性を基本にして女性性を適度にアピールできるかどうかがポイントでしたが、現在は女性性を軸にして男性性を適度にアピールできることが重要です。
恋愛を上手く進行させる上で本質的に重要なのは、対立する事柄をいかにその状況に合わせて対立させたままバランスよく配分するかにあります。
対立する事柄はどちらかに決めて楽になりたくなりますが、安心したいというのは不安定さに耐えられないということ表れなので、女性は男性の弱さをそこに感じてしまい、魅力が低下してしまいます。
恋愛において重要なのは、いかに不安定さを女性に見せないかですが、それはもともと恋愛は男性が女性に余裕をアピールする場だからです。精神的な余裕は物質的な余裕も感じさせるので、精神的な余裕を示すのは非常に重要です。
恋愛に遊戯的な側面が強いのは、遊びというものは余裕がないと生じないからです。ある程度の不真面目さなどは遊びの要素と関係します。真面目なだけの男性がモテにくいのは、真面目すぎることは余裕のなさを示してしまうからです。
デートに誘うときに「遊びに行こう」と言うのは、もともとデートとは男性が自分に余裕があることを示すという側面があるからです。
男性が余裕を持つための手段はいろいろとありますが、女性や恋愛の本質について理解しておくこともその一つです。本書はやや古風な印象は受けますが、恋愛における本質は時代が違ってもそんなに変化するものではないので、本書は十分に役立つ内容になっていると思います。