2009年03月07日
『インテリジェント・セックス』
杉本 彩著 2009年3月5日発行 760円（税込）
インテリジェント・セックス (祥伝社新書145) (祥伝社新書 145) (祥伝社新書 145)
著者：杉本 彩
販売元：祥伝社
発売日：2009-02-27
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本書の著者はタレントの杉本彩さんです。タレント以外にもタンゴダンサーや官能小説家など多くの顔をお持ちのようですが、本書は男性に対する恋愛指南書です。
タイトルからはセックスのみについて書かれている本のような印象を受けますが、本書がカバーする範囲はもっと広く、男女の出会いの時点からセックスまでのすべての過程について述べられています。本書の章のタイトルは以下の通りです。
- 女性に好かれるには条件がある
- デート編 食事とお酒はスリリング
- セックス導入編
- セックス・クライマックス編
章全体の配分から分かりますが、本書の最初の半分はセックスに至るまでのことについて、後の半分はセックスについて書かれています。
セックスについて書かれている部分は、本のタイトルからは本書のメインの部分ですが、セックスに至るまでの口説き方などについて書かれている部分も充実しており、多くの男性にとってはむしろそちらの方が参考になる部分かもしれません。
著者の恋愛の場における価値が高いと思われるため、一般的な感覚とやや遊離しているのではないかと思われる部分もあります。たとえば、デートの時の食事代の相場は一人当たり２万円、それにその際のワインがその１〜２倍の２〜４万円、締めて６〜８万円となりますが、これはおそらく一般的な感覚の２〜４倍でしょう。
また、香水についての好みや肉食の男性がよいなど、著者の個性が反映されている部分もあります。恋愛論一般に言えることですが、特殊な部分と普遍的な部分が混然と述べられており、それらから普遍的な部分だけを抽出するのが恋愛論を読む場合のポイントです。
本書は著者の個性的な嗜好も述べられていますが、女性一般に当てはまる本質的なことも期待していた以上に書かれており、実際に応用できる部分も数多くあります。
しかしながら、女性一般に当てはまること普遍的なことでも、実際の女性に対するときは、個々の女性に応じた臨機応変な対応をする必要があります。そのあたりが難しいところです。
恋愛におけるその難しさは、女性は女性として扱って欲しいという思いと、独自の個性を持った存在として扱って欲しいという両方の思いがあるためです。
よって、恋愛論から恋愛の方法を学ぶにおいても、実際の女性と付き合って恋愛の方法を身につけるにおいても、個々の特別な状況から普遍的な法則を抽出し、そしてその普遍的な法則を個々の女性に対して個別に応用する必要があります。そのあたりが恋愛の難しさですが、これはまさに世の中で生き抜くときの難しさと同様です。
著者は恋愛においてインテリジェンスを重視されているようですが、これは柔軟な知性が人間の生存に必要なため、恋愛を通じて男性の本当の意味での知性の程度を通じて、その男性の生存力を無意識に評価されているのでしょう。
女性は恋愛において男性がどのようにすればよいかについて本当に思っていることを意識できないことが多く、たとえ意識していたとしてもはっきりとは言ってくれないことが多いと思います。本書はストレートに書かれており、そのような意味においても価値のある本です。
