2009年04月16日
『お金に愛される生き方』
邱 永漢著 2009年4月10日発行 1260円(税込)
お金に愛される生き方 (学びやぶっく)
著者:邱 永漢
販売元:明治書院
発売日:2009-04
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「学びやぶっく」という新しいシリーズの一冊ですが、本書は10年前に出版された『お金に愛される原則』の改題・改訂版です。
著者は金融リテラシーという言葉が存在するはるか前から、日本人に金融リテラシーをやさしく説明している本を数多く書かれている方です。本書は過去に出版された著者の本から、テーマごとに分類されて抜粋された本です。それらのテーマは以下の通りです。
- お金は生きもの
- お金の着実な貯め方
- 利殖の真髄
- 株式と不動産投資
- 事業展開のノウハウ
- お金のスマートな使い方
- 老後の対策
最近の本のように、数字や計算などの話は出てこず、部分的には哲学とも言えるようなお金にまつわる考え方が述べられています。具体的にいくつか書くと雰囲気がわかりやすいと思いますので、短めのものをいくつか書いてみます。
「お金は小さく分けるほど使いでがなくなり、大きくまとまれば威力を発揮するという原則がある。」
「貯金というのは、生活費の使い残した分を貯めておくものではない。不足しがちな収入の中から優先して天引きするお金のことである。」
「株というものは、あわてて売るよりも、売り損なってもたもたしているくらいが値の出ることが多いのである。」
「借金の効用とは、梃子を使って物を動かすようなもので、自分一人の資力では、とうてい動かせぬものを、他人の資力を借りて動かすことなのである。」
著者の本には、昔からレバレッジの考え方などが書かれていたようです。
数多くの本から抜粋されているので、表現が異なるだけで同じことが繰り返されているものも多いのですが、何回も繰り返されているうちに覚えてしまうというメリットもあります。
また、バブルが破裂する前に書かれている本もあるようなので、地価が上がり続けている時代を思わせる記述があったり、株取引についても当然のことながらネット証券がない時代の話であったりします。それでも根本にある考え方は、今でも生きている内容がほとんどです。
著者の本は、本ブログで紹介しているようなお金や投資の本を読み始めた頃に、数多く読んで勉強させてもらいました。平易に書かれているので、知識がなくても抵抗なく読むことができた記憶があります。現在でも著者の新刊が発売されると名前で手に取ってしまいます。
最近のお金についての本は、数式などが用いられたりすることもあり、より洗練された形で書かれていることが多いのですが、その根底には本書で述べられているようなことがあります。
本書は、給与所得者として生活しており、お金についてあまり考えたことがないけれども、これからお金にまつわることについて考えてみたいと思う方におすすめできると思います。